中堅社員代表!みーちゃん成長物語
藤⽥瑞希(みーちゃん) 中堅社員として事務局に参画し成長
ウォーターフォールモデルでの商用システム開発を10年ほど経験した後、アジャイル人材育成施策へ受講生SMとして参加。その後、育成施策の事務局メンバとして改善を繰り返し、PO、2チームのPO、SM、コーチを経験したことで、さまざまな役割を実践できるアジャイル人材へと成長した内容を紹介します。
◎成長のきっかけとなった、心に響いた言葉
NTTコムウェア東海支店に入社し、ウォーターフォールモデルでのシステム開発に従事していましたが、東海支店も将来を見据えてアジャイル開発案件の受注を増やしていきたい、そのためには人材を増やしていかなければならないということで、アジャイル開発に従事するようになりました。そのなかで、まず育成施策に受講生として参加しました。
2022年に受講生として参加した時は新米SMで自信がありませんでした。また、北海道から九州までの各地からリモートで参加する14名という大人数のチームに途中から参加したことで、既存メンバが正しいという空気感があるように思い、POやDevとの壁を勝手に感じていました。
そして、悩んだことの1つめは「初めてのことばかりで、あれもこれもうまくいかない……」、「正しいのかどうか、自分でわからない」ということでした。この時に心に響いたのが当時のコーチにかけてもらえた、「できなかったことばかりではなく、できたことに目を向けよう」という言葉でした。そして、「実はできたことのほうが多い、今後はできなかったことと同時にできたことにも着目したい」と思えたことが、その後の大きな糧になりました。
2つめの悩みは、「人数が多すぎて、イベントが時間内に終わらない……」、「チームでいろいろ工夫はしているが限界がある」ということでした。これについても当時のコーチに言われた「時間内に終わらないことが本当の問題なのか?」という言葉でした。ここで、「真の問題は何か?」と、改めてチームで考えることができ、大切なのは「目的を達成すること」であり、悩みだと思っていた「時間内に終わらせることは目的ではない」と気づけました。
このようにいろいろと悩んだのですが、「仲間」とともに困難を乗り越え、トライアルリリースを完遂し、チームとして高く評価された時は達成感を感じました。また、コーチの方々にさまざまな局面で「気づき」を与えてもらい、それに背中を押されて前に進むことができましたし、「コーチの皆さんのようになりたい」と心の底から思いました。そして、事務局から商用案件でも通用すると評価されたことが「不安」を「自信」に変えるきっかけになったと思います。
◎アジャイル人材を育成できるようになるため、事務局へ
その後、東海支店でアジャイル育成ができる人材が必要だということで、その育成ノウハウを習得するために、事務局に参画しました。ここで、初めてのPO、二回目のSM、そして初めてのコーチを経験しました。
初めてのPOは産前産後を経て復帰した直後で、4時間の短時間勤務の時期であり、なにより自分自身がボトルネックにならないことを強く意識していました。そのために、いつでも最新情報が確認できるように非同期で確認できるしくみを構築したり、なるべくチーム部屋に常駐したりという工夫をしていました。
そして、1プロダクト2チーム運営にも挑戦しました。Large-Scale Scrum (LeSS) フレームワークを段階的に導入し、2チームで1つのプロダクトを開発してもチームが混乱しないようにしました。
またPOを経験し強く実感したのが、「プロダクト愛」、「プロダクトに対する熱意」の大切さです。自分がそのプロダクトが好きで、熱を込めて語っていたらいつの間にかチームにその熱が伝搬し、最終的にはスプリントレビューでDev自らがステークホルダーに直接提案をしている姿を見ることができ、熱意は伝わっていくものなんだということを直に感じることができました。
そんな中、いろいろな人材がいたため、アジャイルとウォーターフォールの進め方や考え方の違いを説明しても分かってもらえず、とあるメンバと衝突してしまうことがありました。その際、コーチから、「実は、フィードバックは受ける側にもトレーニングが必要なんだ」という言葉をもらいました。ここで気がついたのが「そもそも相手は自分からのフィードバックをもとめているのかな?」ということでした。そうなのであれば、相手のフィードバックを受ける体制をサポートすべきで、違うアプローチで伝えることが大切だと気づきました。
逆に、自分自身がフィードバックをもらう側になった時はどうなのか、と振り返るきっかけにもなりました。そもそも相手は自分のためにフィードバックの時間を割いてくれていること、そのフィードバックが今の自分に合っていないから選択しないとしても、いただいたフィードバックは聞き流さずに自分の引き出しに入れる、など、フィードバックを受ける立場としての姿勢が変わりました。
続いて2023年には2回目のSMを経験することになりました。
この時のチームは新入社員が多く、大半が開発もPOも未経験者という状況で、「プロダクト愛」をどうやって持ってもらうかということを意識しました。
そのなかでチャレンジしたのは、いろんな事情を持ったメンバがいる中で、よりフラットな関係のチームを築いていきたい、貴重なオフライン集合の時間を効果的にするために、しっかり計画を立てて実行したい、スクラムの三本柱の1つである「検査」をより効果的にするため、振り返りを工夫したいという、3つのことでした。
チャレンジしたこと1:○○の壁を破壊する
どうしても会社や年齢の壁を意識してしまうことがあり、それを壊す1つの方法として、「チーム名決め&ニックネーム呼び」を採用しました。チーム名は結束力アップ、ニックネーム呼びはフラットな関係をめざすことが狙いでした。最初は慣れない人もいたのですが、自分からそう呼ぶことを徹底していくことで、周りも慣れてきました。チームメンバ同士でニックネーム呼びをしていく中で、いつの間にか距離が縮まっていくということがわかりました。是非、皆さんも一度試してみてください。
チャレンジしたこと2:オフライン集合の計画と実行
オフライン集合に効果があることは皆さんも実感としてあると思いますが、全国各地から集合する場合、一泊二日でも実質は24時間ぐらいしか時間がとれません。そのため、しっかりと計画を立てて事前に準備を整えておくことが大切になります。このことで、チームメンバ全員が集まる貴重な場であるオフライン集合の時間を、より効果的なものにすることができます。
チャレンジしたこと3:効果的なレトロスペクティブ
チームとして「今回何を振り返りたいか?」ということを明確にし、それに適した振り返り手法を選択しました。活動が始まったばかりの時はわかりやすさからKPTAを、雰囲気の良いチームはできたもののネガティブなことが言いづらくなっていた時は6色ハット法を、とチームの状況に合わせて、手法を変えていきました。
こうした経験を経て、最後にコーチに挑戦することになりました。ここでは、特にSMのサポート、伝え方の工夫、育成計画の3つのテーマに取り組みました。
私は「コーチはその人の考えや持っているものを引き出す人」というイメージを持っていましたが、今回はSMがスクラム初心者であったため、そもそも経験がないことに対して何かを引き出すことは難しいのではないか、どう関わっていくのが本人にとってよいのかわからないという悩みがありました。
その時に、コーチから「自分の分身を育てたいのか」と問われ、私は「その人なりのSMをやって、自信をつけてほしい」と思っていることに気がつき、私の今回のコーチとしての方針が決まっていきました。
コーチとしてうれしかったのはチームの卒業生のその後の成長と活躍でした。自律的に動けるようになったこと、また上長から高く評価されていることなどが聞こえてくると本当に幸せとやりがいを感じ、それが自分の原動力になっています。
いろいろな立場を経験してきましたが、そのなかで大切だと思っていることは「どんな立場でもチームのために一生懸命取り組むこと」です。私がそれをできた理由は3つの要素から成り立っていると考えています。
- チャレンジ=わからないことは学べばいい、試せばいいという精神
- 信じる心=自分の信念を持って取り組めば、必ずチームのためになると信じる気持ち
- 環境=客観的に自分やチームをみて、背中を押してくれる人がいるから安心して取り組める環境がある
どんな立場であれ、この3つが揃えば「チームのために一生懸命取り組むこと」ができ、結果「まわりがついてきてくれる」ようになって、自分だけでなくみんなでスキルアップできたと考えています。
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