新入社員代表!りさこちゃん成長物語
⼤塚理紗⼦(りさこちゃん) 新⼊社員として育成施策に参加して成⻑
NTTコムウェア東海支店から新入社員として育成施策に参加し、半年でスクラムを学んだ後、参画先のチーム改善に携わった話をもとに、新入社員が自律的に行動できるようになった経験、そして、そうした人材を育てるポイントについて紹介します。
1.育成施策で学んだこと
育成施策に新入社員として、Devの役割で参加し、学んだことは2つです。
1つはテクニカル面です。クラウドサービス、コーディング、自動化(CICD画面試験)など、幅広く学びました。
もう1つはチーム改善です。自分たちでリアルの対面集合、レトロスペクティブの手法の計画をSMと相談して決める、モチベーションアップのための「自分の強みを伝える会」を始めるといったことを企画しました。
単に企画と実施だけではなく、コーチからのフィードバック、メンバからの提案や感想などのリアクションをもらえたことがとても大切で、それでやりがいが生まれ、自信につながっていきました。
2.チーム改善に踏み出した理由(きっかけ)
育成施策を卒業した後、東海支店のスクラム開発にDevとして参画し、学んできたテスト自動化を活かすことができました。この参画にはテスト自動化を行うという使命のほかに、「支店内のアジャイル推進」とメンバからの「純粋なアジャイルを教えてほしい」という要望に応えるという使命もありました。
参画したチームは旧SMが忙しく、Devの一人がSMを兼任している、ほぼ20歳代で占められる3年目のチームでした。そのなかには見知った同期のSさんもいました。
チーム改善に取り組もうとしたきっかけは、初めてのレトロスペクティブでした。チームは毎回、KPTを使い、SMが司会と書記を兼ねていて負担が大きく、POと旧SMに結果は伝わるものの、過程にある不安は共有できていませんでした。また、チームの人数が多く、時間もないため議論が深まらないままTryを実行しているという状態でした。Tryは確実に実行されていることから、実行力は高いチームでした。
2週間のスプリントに対してレトロスペクティブは2時間半と少し長めでした。長めになっていた原因は頻度で、開発が忙しいのでレトロスペクティブに時間がかかる→延期するのでより時間がかかる、を繰り返して悪循環に陥っていました。
チーム全員のスキルが高いのに、レトロスペクティブがうまくいっていないのでもったいない。レトロスペクティブの手法/頻度/時間を改善すれば、もっと強いチームになれると考えました。
3.チーム改善に向けた準備
改善を思いついた自分は同期のSさんにレトロスペクティブの企画を一緒にやろうと持ちかけました。SさんはSMの人が傷つかないか心配していましたが、協力してくれることになりました。そして、二人だけで進めるのではなく、先輩達の力を借りることにしました。NTTコムウェアにはアジャイル開発について相談や議論ができる「アジャイル交流会」という場があり、そこで「このチームに適したレトロスペクティブの手法はなんだろうか」という相談をしたところ、さまざまな意見のなかで「そもそもチームの本当の問題はなんなのかを考えてみたら?」というアドバイスをいただきました。
そこで自分とSさんでもう一度、チームにとって最大の改善点となることは何かについて改めて議論し、「みんな、発言を譲りがち」という結論になりました。また「もっと仲良く雑談もできたほう良い」ということで、自然とたくさん話せる手法を考えようという方針としました。
最終的に選定した手法は2つありました。
・手法1「闇鍋」
議題をメンバ全員から付箋に書いて事前に提出してもらい、そこから1つをくじ引きのように引き、議題を決定。選ばれた議題について議論をします。メリットは議題を選ぶ時間をなくし、議論する時間を最大化できることです。
・手法2 555(Triple Nickels)
Sさんが好きな仮面ライダーのタイトルから採ったネーミングです。チームの人数が多いということがネックの1つと判断していたので、あえて少人数の複数グループにわかれてテーマに沿って振り返りを行い、その後、他のグループが使っていたホワイトボードに上書きをしていく形で議論を進める手法です。少人数であれば発言がしやすくなることがメリットです。
この2つの手法を採用しました。
4.準備と順番をしっかりと決めた新しいレトロスペクティブの流れでチーム改善
レトロスペクティブの前にしっかりと準備を整えて、進める順番を決めました。
- ① アジェンダを作る
なにを何分でやる、ということを事前に決定してから始める(タイムボックスを超えないようにする) - ② グランドルールを作る
カメラのオン、オーバーなリアクションをするなど、ルールを最初に告知する(コミュニケーションを促進させる) - ③ アイスブレイク
冒頭に必ず一人一言ずつ雑談をはさむようにした(いつも同じメンバだが、話やすい環境作りを意識して) - ④ 手法の説明
- ⑤ 議題の選択
- ⑥ チームの確認
いろいろな人と話せるようにチーム組み合わせに配慮した。このチームは今までDevのみでレトロスペクティブを行っていたが、PO、旧SM、品質担当の参加も促して、メンバ全員参加で実施した。
ここまでが事前の準備となります。ここからは、以下のような流れで議論を行っていきました
- ⑦ 自チームで話し合う
- ⑧ 相手チームの付箋を見て、さらに話し合う
- ⑨ 話したことを共有して、まとめる
- ⑩ 3回繰り返す(3議題を話し合う)
- ⑪ チェックアウト(レトロスペクティブ全体の振り返りを行う)
◎メンバからの感想
この手法にした後でのメンバからの感想で印象深かったものを紹介しておきます。
・評価された点
なによりも、「積極的に意見を言うことができた」ということが大きかったと思います。この点が自分とSさんの最大の目的だったのでありがたい感想でした。
・改善したほうが良い点
「議題によって司会と書記を変えてもいいかも」ということでした。そもそもSMの方の負担が大きいのでないかと思ったことが自分の起点にあったので、そうした意見がチーム内から出てきたことはうれしかったです。
◎チームに与えた影響
レトロスペクティブのやり方を変えるというアプローチがチームに与えた影響の1つは、なによりも「今後、レトロスペクティブを改善し続けていこう」というきっかけを作ることができたことです。2つめは、KPTしか知らなかったメンバに手法には選択肢がたくさんあることを伝えられたことが大切でした。3つめは、いろんな会話のきっかけを作ったことでメンバ間のコミュニケーションの促進ができたことでした。
5.私がなぜ行動できたのか
最後に自分がなぜ一連の行動をとることができたのか、について紹介します。
自分のなかに、
「できるだろうという自信」と「やらなければならないという使命」
があったからです。
自信があったのは育成施策で対面集合などのチーム改善の「経験」があり、自分がやったことに対してフィードバックや感想を直接もらった「成果」があったからです。「褒めると伸びる」という言葉がありますが、褒めるとは成果を伝えることだと思っています。自分のしたことに意味があったことに気づき自覚できることは、自ずと自信につながると考えています。
自分が使命感を持っていたのは、「東海支店に純粋なアジャイルを浸透させること」を期待されている自覚があったからです。上長やチームからの「期待されていることが明確」で具体的だったこと、そして、「期待されていると自覚する」ことが大事で、自分の行動に対してまわりから反応が返ってくることで自分が期待されていることに自覚的になれました。期待されていることが明確で、達成を期待されていると本人が自覚すると自ずと使命感が生まれてくると考えます。
自信と使命があれば、立場、年齢、スキルに関係なく、自律的に行動できる人材が生まれるのではないかというのが、新入社員としての1年間で感じたことでした。
最後に
NTTコムウェアのアジャイル育成施策は、これからも続きます。育ってきた地域事業本部のメンバが事務局中核メンバとして引き続き力強く推進していきます。
2024/07/31
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