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サポーター文化の違いを認めて実況していくことがメディアの仕事

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 もともとサッカーが世界に広がったのは、宗教に通じるものがあるそうだ。「川があるとそこに人が集まりコミュニティができる。そして教会ができ、次に娯楽が生まれる。その娯楽として始まったのがサッカーで、宗教と共に世界に広がった」と倉敷さんは説明する。

 それに対して日本のサッカーは異なる広まり方をしている。
「国内で一気に認知されたのはJリーグがきっかけ。突然華々しく始まり、サポーターやホーム、アウェイ、オフサイドなどの言葉が広まった。日本のサポーター文化は海外のものがそのまま広まったので、受け身の文化。Jリーグのブームが落ちついて安定して、独自のサポーター文化が生まれつつある」。

 サポーター文化が根づいた対照的なスタジアムがある。ひとつは、浦和レッズのホームスタジアム、埼玉スタジアム2〇〇2。日本一熱く激しいといわれるサポーターが、対戦相手を出迎えるときは、猛烈なブーイングから始まる。これが浦和レッズサポーターにとってのウエルカムホームのマナー。そうすることで、アジアで屈指の広さを誇るスタジアムを持つチームを守り、応援しているのだ。

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川崎市 等々力陸上競技場。川崎フロンターレの本拠地として利用されている

 一方、日本的なもてなし方をしているのが、フロンターレ川崎のホームスタジアム、等々力陸上競技場だ。試合時には必ず場内アナウンスで「今日は●●●の皆さんがアウェイサポーターとして来てくださいました。ありがとうございます」と放送される。そうすると場内に拍手が起こる。試合はなんとも和やかな雰囲気から始まるのだそうだ。

 サッカーをサポーター視点から見ると違った文化が見えてくるから面白い。
「どちらもサポーター自身が試行錯誤しながら作り上げてきた文化で、良い悪いはない。サポーター文化の違いを認めて実況していくことがメディアの仕事だと思う。そこから文化が成長していく」と、倉敷さんは話す。

 「ただし、日本の場合、自前のスタジアムを持つチームは少ないので、各チームの文化が確立されるまでにはまだ時間がかかる。そこが、海外のサッカー文化との決定的な差だ」。

 日本でサッカー文化を育てていくには、ハード面の充実度を高めていくことが大きな課題となるようだ。ソフト面では、「日本は、女性や子供も安心してスタジアムで観戦できる良さがある。そこに日本らしさをどうやって取り入れていくか。それによってチームの盛り上がり方が変わってくるだろう」と倉敷さんは分析する。

“知らない”は伝える側の大きなチャンスとなる

 映画や音楽、アートのように、サッカーはエンターテイメントとして成立するのだろうか。

 倉敷さんに問うと、 「スポーツは、エンターテイメントとしても無限大の可能性がある」とのこと。インターネットが広く普及した現代では、映画や音楽、アートは、それらに触れる前に簡単に情報を集めることができ、評判も分かる。しかしスポーツは、観戦しないと結果も内容もどうなるか分からない。そこに未知数の感動や驚きがある。
「未知数のものに人間は価値観を見出す。だから、スポーツだけが持っているエンターテインメント性は無限大の可能性を秘めている。その中でもインターナショナルスポーツのサッカーは世界へ展開することさえも容易にできる」。

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 エンターテイメントの先にある文化につなげるために必要なのは、歴史やそれに関わる人について知ることで、触れたい、体験したいという気持ちを起こさせることだ。海外で数多くのチームを取材し、その国の文化に触れてきた倉敷さんが実感したのは、海外では、小さな子供でも、何十年も前に活躍したサッカーの名選手たちのことを語れるということ。それは、古い映像を誰でも見ることができるからだ。

 対して日本では、「Jリーグ草創期に活躍し今の基盤を作った、三浦知良、中山雅史、中田英寿などの名選手たちのことを知らない子供も多い」と倉敷さんは言う。古い映像が放映されるのも限定的で、その結果、「サッカー文化の歴史に空洞を作ってしまっている」と危惧する。

 しかし一方で、チャンスがあふれているとも思うのだそうだ。
「今の若い人は、自分が興味あることに対してはとことん突き詰め、お金もかけるが、知らないことに対しては貪欲ではない。そこにチャンスがある。知らないことが多いのは、それだけ新鮮な感動と驚きとファーストインプレッションが用意されていること。知らないなら、こちらからいくらでも提供しようという形でサービスを展開すれば、可能性がどんどん広がる」。倉敷さんはそれを可能にするのが、技術の進化と規制緩和だと考える。

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