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無限大に広がるサッカー実況の未来、キーワードは“細分化”

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 「僕は新しい時代の娯楽はデジタルスタジアムだと思う」と倉敷さんは言う。デジタルスタジアムとは、サッカースタジアムの高精細な映像や音声を屋内施設に再現するもの。第5世代通信5Gが広く商用化されれば、スタジアム以外でのリアルタイムの観戦スタイルが多彩になる。

 「今、趣味は多様性を究めている。自分の好きなものを自由に選べる時代で、価値があると思ったものにはお金をかける人が増えている。そこにサッカーの未来があると思う」。

 そこから倉敷さんが見出す未来が、観戦スタイルの細分化だ。
「ひとつのサッカーのなかで、作り分ける。例えば、従来のオーソドックスな中継のほかに、データシステムを駆使して、試合中に瞬時に分析をしていく実況スタイル、試合の醍醐味をライブアクション的に絶叫も交えて伝えるスタイル、相手チーム側に立った情報を紹介していくスタイル、そして、僕が得意とする試合のはみ出し情報を実況に交えていくスタイルなど」。ひとつの試合で中継スタイル毎に複数番組を用意することで、それまで興味がなかった人も、自分好みのスタイルを探すことができる。さらに、これらを課金制にすれば、スポンサー側にも利益が出る。1試合から従来の何倍も収益が見込めるのだ。

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 5Gの活用次第では、課題とされているVARの使い方も変わってくる。現在は一度試合を止めて、審判がさかのぼって判断する材料だが、これが瞬時に判断できるようになれば、ブーイングも起こらないし、選手の覇気も保たれる。
「かつての日本代表監督、アルベルト・ザッケローニ監督が言った言葉がある。“スピードを伴わない技術は意味がない”。選手の技術もデジタル技術もスピードについていけないとこれからの時代はやっていけない」。

100年後のサッカーはすべてをつなぐアンテナになる

 デジタルの進化を活用して観戦スタイルを細分化することで、サッカーのエンターテイメント性は無限大に広がりそうだ。さらに、5Gの普及で、あらゆるコンテンツが変わるだろう。
「観戦中に情報を見たいと思ったら、その情報に瞬時にアクセスできるようになるだろうし、観戦している人に試合の経過にあわせてクーポンをゲットできるようにしたり、飽きてきた人を判定して、『隣のチャンネルではリーガ・エスパニョーラの試合を中継中』と表示したり、スピードを伴わせて技術を生かすアイデア次第で楽しみ方は無限大に広がる」と、倉敷さんの期待度も高い。

 「インターナショナルスポーツであるサッカーは、世界につながる言語としても大きな役割を果たしていく」と倉敷さんは考える。サッカーは世界共通の話題だからこそ、外交にも有効なツールになる。サッカーが強いということだけで、ビジネスパーソンが海外に出たときに仕事がしやすくなることも考えられる。スタジアムでも映像でも、新たな技術で人々にとってサッカーがより身近となる未来があれば、サッカーは世界中の文化を理解する入り口になるだろう。世界を瞬時にさまざまことをつなぐ、全ての技術を生かす為の共通言語になるのはサッカーなのかもしれない。

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プロフィール

倉敷保雄(くらしき・やすお)
フリーアナウンサー。1961年大阪生まれ。ラジオ福島アナウンサー兼プロデューサー、文化放送の記者を経てフリーアナウンサーに。Jリーグの開幕と同時にサッカーの実況担当として、世界のサッカーリーグを担当する。J SPORTSの人気サッカー情報番組『Foot!』のMCを長年務めたほか、Jリーグから欧州各国リーグ、欧州CL、南米まで、手がける実況は広範にわたる。2002年日韓W杯では、スカパー!のメインキャスターとして日本戦や決勝戦の実況を担当。豊富な知識に裏づけされた的確な実況と遊び心のあるコメントで、コアなサッカーファンから初心者まで支持は厚い。サッカーファンの間では、「クラッキー」の愛称で知られる。サブカルチャーへの造詣も深く、BSスカパー!「忘れじのカルチャー倶楽部 クロッキクロニクル~タイムマシンに気をつけろ~」に出演。2019年5月にサッカーを題材にした初の小説「星降る島のフットボーラー」(双葉社)を上梓。ほかに著書多数。

2020/01/21

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