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ニッポン・ロングセラー考
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「人にはヒトの乳酸菌。」のフレーズでお馴染みの「新ビオフェルミンS」。昨今の“腸活ブーム”に1世紀先駆けて乳酸菌に着目した、ビオフェルミン製薬による乳酸菌整腸薬だ。ライバル商品が次々登場するなか、同社の看板商品としてトップを走り続ける強さの秘密は、長い年月をかけて培ってきた「安心・安全」「信頼感」「優しさ」という3つのブランドイメージにあるようだ。

港町・神戸が生んだ、生きた乳酸菌整腸薬

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「ビオフェルミン」の昭和初期のパッケージ。

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1987(昭和62)年の発売当時からほとんどパッケージのデザインが変わらない「新ビオフェルミンS」。

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2002(平成14)年、創業85周年を記念してつくられたビオフェルミン製薬の新しいロゴマーク。4人の創業者を表す4つの正円がモチーフで、その重なりが同社の頭文字「B」になるようデザインされている。

「腸内フローラ」という言葉をご存じだろうか。私たちの腸に生息する数百種類約600兆個を超える菌のことで、顕微鏡でのぞくとまるで「お花畑(Flora=フローラ)」のように見えることから、そう呼ばれるようになった。近年、“腸内フローラ”のバランスがお腹の調子だけでなく、生活習慣病や花粉症などに対する免疫機能、さらには老化といった健康全般に大きく影響することが分かり、ちょっとしたブームになっている。その「腸内フローラ」に1世紀も前から着目し、私たちのお腹に良い働きをするいわゆる「善玉菌」の代表である「乳酸菌」の薬として誕生したのが「ビオフェルミン」(ビオフェルミン製薬株式会社)だ。1917(大正6)年の誕生当時は1種の乳酸菌(フェーカリス菌)のみだったが、現在は新たに2種(アシドフィルス菌、ビフィズス菌)が加わり、計3種の乳酸菌を配合した「新ビオフェルミンS」として店頭に並ぶ。昨今の“腸活ブーム”で薬局やドラッグストアの棚を賑わす乳酸菌整腸薬のなかでも「元祖」ながら、1世紀もの間、トップを走り続ける「ビオフェルミン」ブランド。いかにして強力な看板ブランドになりえたのか。

「ビオフェルミン」の誕生は20世紀初めまでさかのぼる。当時、ヨーロッパで“長寿の薬”として研究が進められ、日本にも輸入されていた乳酸菌製剤が、第一次世界大戦の勃発により輸入がストップ。そこで、国際貿易港として栄えていた神戸の医師たちが、それに替わるものとして乳酸菌の国内生産を目指し、試行錯誤の末にたどり着いたのが「ビオフェルミン」の成分となる乳酸菌のひとつ、フェーカリス菌だった。1917(大正6)年、彼らはビオフェルミン製薬の前身となる神戸衛生実験所(神戸市中央区)を設立、フェーカリス菌を製剤化し、乳酸菌整腸薬「ビオフェルミン」が誕生する。「ビオフェルミン」の「ビオ」は「バイオ=生きた」、「フェルミン」は「フェルメント=酵素・発酵」を意味し、「生きた乳酸菌の薬」であることを表すが、大正時代にカタカナ表記の商品名は珍しく、ハイカラ文化で知られる神戸ならではといえる。

1949(昭和24)年にはビオフェルミン製薬と社名も新たに、同社は乳酸菌ひと筋で研究・開発に取り組んでいく。1966(昭和41)年には従来の「ビオフェルミン」に新たなもう1種の乳酸菌(アシドフィルス菌)を加え「新ビオフェルミン」として発売。さらに、1987(昭和62)年には乳酸菌3種配合した「新ビオフェルミンS」としてリニューアル。その効能は「整腸」「軟便」「便秘」「腹部膨満感」だ。整腸薬というと、便の出をよくするか、あるいはその逆のどちらかに効くと思われがちだが、「新ビオフェルミンS」は乳酸菌が生きたまま腸まで届いて増えることによって「腸内フローラ」を整える作用があるため、その両方に効く。また、錠剤に加え、細粒タイプがあるため、赤ちゃん(生後3カ月〜)も服用できる。そうした強みを武器に、「ビオフェルミン」は乳酸菌整腸薬のトップブランドへと成長していく。

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