1世紀かけて培ってきたブランドイメージこそが資産
2007年以降のCM・広告には、お馴染みの「人にはヒトの乳酸菌。」のキャッチコピーと女優の蒼井優が登場する。
2006(平成18)年に発売された乳酸菌とビタミンCを配合しお腹のハリにも効く整腸薬「ビオフェルミンVC」、2008(平成20)年には11歳から服用できる便秘薬「ビオフェルミン便秘薬」が登場。
「新ビオフェルミンS」といえば、「人にはヒトの乳酸菌。」というフレーズを思い浮かべる人は多いだろう。人間の腸との相性がよく、定着性が高いヒト由来の乳酸菌を使用していることをうたったそのキャッチコピーに加え、女優・蒼井優のナチュラルな佇まいが印象的なCMは、2007年に入ってからスタートしたものだ。同社が「ビオフェルミン」というブランドを世に知ってもらうためにこだわってきたことは、乳酸菌のみを有効成分とした「安心・安全」、老舗製薬会社だからこその「信頼感」。そして、赤ちゃんや妊婦さんも服用できる「優しさ」。この3つを大切にしてきた。それは、乳酸菌の有用性に注目が集まる“腸活ブーム”のいまも変わらない。
ブームを受け、「ビオフェルミン」のライバルは乳酸菌整腸薬だけでなく、乳酸菌を使ったヨーグルトや飲料など、薬局やドラッグストアを飛び出して、スーパーにまで広がっている。だが、同社は類似品やPB(プライベートブランド)商品との差別化以上に、「ビオフェルミン」が1世紀かけて培ってきたイメージを守ることに力を注いでいる。2006(平成18)年には乳酸菌とビタミンCを配合したお腹のハリにも効く整腸薬「ビオフェルミンVC」、2008(平成20)年には11歳から服用できる便秘薬「ビオフェルミン便秘薬」を発売。「ビオフェルミン」のブランド資産をいかにジャンルの幅を広げ、活用していけるかが今後の課題だ。
大正時代の創業から、乳酸菌研究に没頭してきたビオフェルミン製薬。2007(平成19)年には神戸工場に隣接して研究管理棟を新たに建設。2013(平成25)年には培養棟を新築し、さらなる乳酸菌の研究・開発をするべく体制を整えた。最近の乳酸菌研究では、“腸内フローラ”のバランスがお腹の調子だけでなく、生活習慣病や免疫機能、老化にも影響することが分かり、その力にますます注目が集まっている。また、お年寄りは体を動かさなくなるため腸も動かなくなり便秘に悩まされることが多いが、超高齢化社会を迎える今、乳酸菌の効果が期待されている。
乳酸菌ができることは、まだあるのではないか――。元祖「乳酸菌の薬」の生みの親は、その誇りとともに、その未知なる力と可能性の追求に、今日もまい進する。
取材協力:ビオフェルミン製薬株式会社