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振り返り、俯瞰することで、人間は技術面も精神面もスキルアップする

写真:山下良美さん

―試合中に問題が発生することもあると思いますが、どのように対応されますか。対応方法、解決方法などはありますか。

山下:判定など物事を瞬時に決めなければいけないことはよくあり、対応力は必要だと思います。しかし、瞬時にできることは、自分が持っている知識と力の範囲であって、それ以上のことはできないと思います。ですから、日々のトレーニング、日々吸収していく知識が自然に出るのだろうなと信じて、学んでいることが多いですね。

―山下さんが考える決断力、判断力をつけて瞬時にできることを増やすトレーニングはどのようなものですか。

山下:私は数(経験値)だと思っています。
判定一つでも、経験してきたさまざまな状況、合っていることも間違っていたことも含めて分析していくことで、より正しい判定につながっていくと思っています。

もう一つ大切なのは、振り返ることです。
フィールドで実際に目で見て判断したことと、試合後に改めて見た映像が同じ判定になるかどうか。試合中の心理状態で見たものと、後から俯瞰で客観的にみたもので正しくないと思うこともあります。最終的な判定が合っていても、振り返る中でその過程が間違っていることもあります。それらの部分を細かく分析して振り返っていくことが大事だと思います。

―毎回必ず振り返って分析されるのですか。

山下:時には、振り返りたくない試合もあります。選手にストレスを与えてしまったかなということがあると振り返るのは嫌ですが、それを客観的に見るのが責任なので、必ず行います。

―俯瞰的にご自身をあらためて見るということなのですね。

山下:はい、そういう意味では、精神面に関しても振り返りますね。審判員は、前の判断で間違ってしまったという思いが残っていると、次の判定にマイナスにつながってしまったり、判定がぶれることがあります。その時の自分の精神面も含めて客観的に見ることが大切ですね。

―振り返り作業はおひとりで行うのですか。

山下:私が審判を行う全試合ではないですが、試合を見てくれるインストラクターやアセッサーがいます。意見を聞くのはとても重要で、ほかの方からどう見えたか、違う方法があったかなどのアドバイスを聞いて、次に活かすのをとても大切にしています。

写真:山下良美さん

2021年6月 国際親善試合 なでしこジャパン 対 ウクライナ女子代表での山下主審 ©JFA

プロとして一つ一つの事を丁寧に対応する、その積み重ねで目指すものが見えてくる

―今後目指すものはありますか?

山下:今は目の前の試合しか見えていないのが本音です。私自身、Jリーグの主審となれたのは、先輩方が今までいろいろな可能性を広げてきてくれたから、その道に私も乗ることができたのかなというのが率直な考えです。先輩が広げてくれた道を私が継続して、閉ざさないようにつないでいければと思っています。
今女性でサッカーをがんばっている人は、努力することで十分に可能性は広がっていきます。その中で、審判を目指そうと思う道を広げていくのは、今審判員となって活動している私たちの役目だと思っています。そのためには、審判が注目されるのは仕事としては少し変かもしれませんが、注目される役割も少しでも引き受けていきたいです。

―世界でのご自身の活躍について、どう思われていますか?

山下:国際審判員として、海外で審判を行うこともありますが、同じ競技という世界のなかで行っているので、日本で得た知識や経験をそのまま持っていけば通じると、自信が持てました。日頃のトレーニングが大切なのだと実感しています。語学についても、最初は勇気だけで、とにかくしゃべっていこうと。一生懸命に伝えたいという気持ちがあれば、単語だけでも伝わるものです。フットボールの試合を行うという1つの同じ目標があるので、お互いが分かり合えるのかもしれません。

―山下さんにとってプロとして仕事をするのは、どういう事だと言えるでしょうか?

山下:私は、一瞬一瞬のことに一つ一つ丁寧に対応することが大切だと思っています。 大人になるにつれて現実が見えてきて、夢がなくなり、何を目指せばいいのかわからなくなった時期が私もありました。しかし、サッカーが好きで、その時々で目の前の目標を決めて達成して、それを積み重ねてきたことで目指すものが見えてきたのかなという状況です。一つ一つの判断を、これからも丁寧に積み重ねていきたいです。

写真:山下良美さん

2021年5月 明治安田生命J3リーグ第8節 Y.S.C.C.横浜 対 テゲバジャーロ宮崎での山下主審 ©JFA

取材後記

小さい頃の夢はパン屋さんになることだったという山下良美さん。小さい頃からサッカーを続けてきたことが今につながっていると話してくれますが、いつも目の前の目標を達成することを続けてきたからこそ、周囲にもその誠実さとリーダーシップの高さが伝わり、今のポジションがあるのだろうと思います。山下さんは、国際審判員になって、海外でも国内でも、同じ目的を持った世界だから伝えられるし、叶えることができると実感したといいます。それはサッカーの世界だけではなく、どんな世界でも通じるところがあるのだと思います。そのことがわかると目の前の世界は無限大に広がっていくのかもしれません。東京オリンピックでも主審を務める山下さんのレフェリングが楽しみです。

プロフィール

山下良美さん
国際主審
1986年、東京都生まれ。東京都立西高校から東京学芸大学へ。女子サッカー部でプレーをしたのち、卒業後は女子サッカークラブチームFC PAFで2014年まで選手として活躍。2015年国際主審に。2019年女子ワールドカップフランス大会で決勝トーナメントを担当。2021年5月16日、ニッパツ三ツ沢競技場で開催された明治安田生命J3リーグ、Y.S.C.C.横浜対テゲバジャーロ宮崎でJリーグ初の女性主審を務めた。東京2020オリンピックのサッカー競技でも主審を担当する。

2021/07/27

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