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「テレワーク・プレイ・ブック」で、仕事や会社に慣れていない若い人に
違和感を残したままにしない仕組みを。

写真はイメージです 画像提供:PIXTA

写真はイメージです 画像提供:PIXTA

―テレワークでコミュニケーションの取り方も変わりますか。

古賀:今はリモート会議が多くなっていますね。今まで仕事をしてきた同じメンバーとのリモート会議であれば、その場の空気も、相手の気持ちも読めますから、配慮したり、相手のことを考えながら進めることができると思います。
また、直接対面の会議の場合に、会議で意見が割れて、その後に1対1で話してフォローをしていたような事を、リモートでオフにした後に同様のフォローをしなかった場合はどうなるでしょう? 特に社会人経験が少ない若い年代の人は、仕事や会社に慣れていないことが多いので、違和感が残りやすくなります。

その違和感が解決しないまま仕事が進んでしまうと、心に残るものを引きずってしまい、ストレスが重なっていくことがあります。

―上司や先輩が、若い人のストレスを軽減するコミュニケーションをとる方法はありますか。

古賀:社会人としての経験が長い上司や先輩も、その経験値をいかしたアドバイスを押し付けるのではなく、例えば、会社や部署、グループ別で具体的なケースを挙げた対応方法、ストレスを回避する具体的なアドバイスなどをまとめて「テレワーク・プレイ・ブック」みたいな物を用意するのも一つの方法です。堅苦しくないものがいいですね。
中間管理職の方がきつくなっているという話も聞きます。今はテレワークの制度の方に焦点が当たっていますが、コミュニケーションのフォローになる具体的な考え方を用意できると、お互いに幸せに仕事ができると思います。

―テレワークをうまく進めるには、むしろ直接対面している時よりも一歩踏み込んで、相手を気遣うことが大切なのですね。

古賀:環境に合わせて、相手の心の状況に耳を傾けることが大事です。

「いざよく学び、いざよく遊べ(study hard, play hard)」
年齢を重ねて働き続けられる秘訣。

―古賀先生は教授職を退官されて75歳になった今も、変わらず意欲的に活動されていますが、ストレス対処法などはありますか。

古賀:大学を退官後は、産業医を担当する日もあれば、企業との研究にいそしむ日もあり、クリニックで患者さんと対面している日もあります。毎日違うことをしているかもしれませんが、忙しいほうがいいだろうと思っています。ストレス対処法は、先ほどお伝えした自転車とちょっとした買い物です。仕事と息抜き、やはり気持ちの切り替えが大切です。

写真:古賀良彦さん

2016年2月、古賀良彦教授としての杏林大学最終講義の模様 ©杏林大学

―今後はどのように働いていきたいなどのお考えはありますか。

古賀:休むことは考えていないですね。生涯現役で続く限り働こうと。何かあったら精一杯やり、精いっぱい遊ぶのがモットーです。肩に力が入っていない感じで続けていきたいですね。

―杏林大学での最終講義でも、「いざよく学び、いざよく遊べ(study hard,play hard)」と話されていましたが、ご自身が実感されてきた事柄はありますか。

© 慶應義塾普通部
普通部の歌 抜粋

古賀:母校の中学校の校歌にあった歌詞なんです。「いざよく学び、いざよく遊び(遊べ)」なんて、珍しいですよね。堀内敬三作曲、佐藤春夫作詞。当時から気に入っていてずっと心に留めていました。だから今も、仕事をしたらちゃんと遊ぼうというのが基本になっています。

海外の学会などにいくと、もちろん研究結果を発表したりセミナーなどで学ぶことが主体にありますが、期間中には、休日もあり、エクスカーションの時間もしっかり設けられているんです。“頭を使って勉強したら、ここからは遊ぶ時間”ということですよね。それを日常でも実践しているわけです。遊ぶ時間があることで、勉強を上手に手助けしてくれます。人生もその精神で楽しんできました。

―年齢を重ねて働き続けられる秘訣は? 定年を迎える多くの方がまだまだ活躍できる時代になると思うのですが、ご自身の経験を踏まえてアドバイスをお願いいたします。

古賀:年齢を重ねてきてからこそ、どんな形でも世の中に出たほうがいいと思います。自分がぼけないように考えなければいけない。だからこそ、新たな人のつながりの中に入っていくことが大切だと思います。人とのコミュニケーションは一番頭を使うからです。イキイキとした人との接触を大切にしていくことが長く働いていく秘訣ではないでしょうか。もちろん、今はコロナ対策を万全にしてから出たいですね。

取材後記

古賀先生に現在の生活についてうかがうと、「毎日違うことをしています。今やれることを精いっぱいやり、精いっぱい遊んでいるから楽しいですよ」と話されました。とてもご高齢とは思えないバイタリティ溢れる日常をうかがい、ただただ驚くばかりです。中学生時代の校歌の3番の歌詞「いざよく学べ、いざよく遊べ」が心に残り、社会人になってからもずっとその言葉を基本精神として生活しているという古賀先生は今でもとにかく楽しそうで、お話を聞いているこちらも楽しさをおすそ分けしていただいた気持ちになりました。いつでもその場を楽しむことは、じつは意外と難しいと感じます。生活していればストレスは少なからず感じること。しかし、ストレスがあると自覚して立ち止まったり、ひと休みしていければ、ストレスと上手に付き合っていけるのかもしれません。

プロフィール

古賀良彦先生
杏林大学名誉教授・医学博士。1971年慶應義塾大学医学部卒業後、同大学医学部精神神経科学教室を経て、1976年杏林大学医学部精神神経科学教室に入室。1999年同教室主任教授。2016年に教授職を退官。うつ病、睡眠障害、総合失調症、ストレス障害の治療・研究のエキスパート。日本催眠学会名誉理事長、日本薬物脳波学会副理事長なども務める。著書『熟睡する技術』(2013年メディアファクトリー)、『いきいき脳の作り方』(2010年 技術評論社)、『週末うつ』(2012年 青春出版社)など多数。

2021/09/22

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