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これからの「宇宙」とICTとの関係性は?
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映画「2001年宇宙の旅」が公開されてから今年で50年になります。実際の2001年からはやや遅れましたが、映画に登場した宇宙ステーションや地球往還機、惑星探査ロケットなどは現実になりました。しかも、ICTの進化により、宇宙開発が進み、以前には考えられなかったような宇宙ビジネスも誕生しています。民間人初の月旅行も話題を呼んでいるいま、宇宙とICTとの関係性について紹介します。

ICTの進化で小型化したロケット

ICTによって、具体的な取り組みが進んでいる宇宙ビジネスがあります。民間企業によるロケットビジネスへの参入です。ICTを中心とし、それを生かした機械工学などロケットに関わるあらゆる産業の進展により小型化、高性能化が進み、打ち上げコストや失敗のリスクが大きく下がったことが背景にあります。初期の人工衛星は重さが数トン単位のためロケットも必然的に大型になり、打ち上げコストも1回あたり数百億円に達していました。

重さが1トン以下を小型衛星と呼びますが、近年は500㎏以下のミニ衛星や100㎏以下のマイクロ衛星が増加し、安価なロケットは数億円で打ち上げられています。さらに、10㎏以下のナノ衛星、1kg以下のピコ衛星、100g以下のフェムト衛星(フェムトは10-15の意)と、より小さな単位系名が付けられた衛星も登場しており、2017年には1辺3.5cm、重さわずか4gのワンチップに集積された人工衛星「Sprite」も打ち上げられました。こうした、人工衛星の小型化は、ICTの進化と、まさに二人三脚の関係にあるといえます。

宇宙太陽光による発電で地球に電力を送り込む未来

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遙か3万6000Kmの距離からマイクロ波やレーザーなどを使って送電する。地球上に設置する受電設備も直径数キロの装置が必要ともされている。

さて、こうした衛星などで少しずつ身近になった宇宙には多くの資源・エネルギーが存在する事が分かり、その利用をめざした開発が進められています、宇宙空間での太陽光をエネルギーに変換して活用しようという考えもその1つ。こうした考えは以前からありました。「ダイソン球」をご存じでしょうか。「高度に発達した異星人文明は、恒星の膨大なエネルギー資源を無駄なく活用するために恒星全体をカバーするシステムを構築するだろう」と、1960年に米国の物理学者F・ダイソンが提唱しました。

今でも、地表で太陽光発電が行われていますが、天候による発電量の変動が大きいという弱点があります。また地表で受け取れるエネルギーは、太陽が全方向に発するエネルギーのごく一部にすぎません。そこで、宇宙空間に太陽光パネルを設置し、それをつなげて恒星全体をカバーしてしまおうというアイデアがダイソン球です。

現在考えられている宇宙太陽光発電は、太陽電池(ソーラーパネル)をロケットで宇宙空間に打ち上げ、得られた電力をワイヤレス通信で地上に送ります。すでに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、2015年に5.8GHz帯で約1.8kWの電力をワイヤレスで送ること、2016年には、レーザー光で高さ200mのタワーから地上に向けて電力を送ることにも成功しています。宇宙空間から無線で電力を送れるようになるのはもうすぐ、と思ってしまいそうですが、まだ難題があります。それは距離。赤道上高度約3万6000㎞の遠くから、地上の受電設備に向けて「正確にマイクロ波やレーザー波を当てる」のが難しいのです。

ただし、宇宙空間での太陽光発電設備であれば、ほぼ1年間、昼夜を問わず発電できます。さらに、大気による減衰がない分、地表よりも約1.4倍強い太陽光を利用可能です。

これだけエネルギー効率が高くなれば、地球上の資源・エネルギー問題を解消するのに貢献できるでしょう。今後、地球上ではIoT、ビッグデータ解析、AI(人工知能)の活用などためのクラウドサービスや、それらを支える高性能なデータセンター、スーパーコンピューターの利用など、大量の電力を使用するシステムが、ますます、人々の暮らしの中に浸透していきます。宇宙太陽光発電は、そんなエネルギー大量消費社会といった問題の解決に対する有効なソリューションかもしれません。

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