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宇宙空間の活動に生かされるAIやVR

今後、宇宙開発が進んでいく中で、宇宙ステーションを建設したり、太陽光パネルを設置したりといった宇宙空間での作業が今以上に必要となるかもしれません。

ただし、宇宙空間での人間の活動には、地上とは異なる危険が伴います。これはロボットによる作業が適している空間といえるでしょう。宇宙空間で活動するロボットには、真空状態、放射線、熱など、地上とは異なる過酷な環境でも動く耐久性などが求められます。そのための新たな材料の開発が必要となることもあります。

そして、宇宙空間で活動するロボットには、大きなクレーン型マニピュレータ、小型の精密作業用のロボット、さらには、宇宙空間を動き回って作業するロボットなどがありますが、宇宙で使うロボットが「自ら情報を集め、判断し、行動を起こせる」という自律性の高い能力を身に付ければ、宇宙開発を妨げるさまざまなトラブル回避につながるかもしれません。

また、ロボットに限らず、IoTやシミュレーション技術なども宇宙開発はもちろん、現在、民間企業が次々に参入を検討している宇宙ビジネスでも重要になっています。例えば、IoTデバイスなどのセンサー類を衛星に組み込む、あるいは惑星に超小型探査ロボットを大量に設置して、ビッグデータ解析やAI(人工知能)の技術と組み合わせて、衛星や惑星を詳細に分析するといった取り組みも今後進められるかもしれません。

さらには、宇宙空間での作業や活動の前に、その環境をデジタル技術で再現し、シミュレーション技術を駆使して、実際に宇宙空間で活動する前に安全性などを検証する取り組みも進められています。欧州宇宙機関(ESA)では、すでにVR(仮想現実)の技術を活用し、無重力な宇宙空間を疑似体験できるようにしました。その設備で、人間の脳が、重力のある地球の環境と無重力空間をどのように処理し、例えば、ものをつかむといった作業にどのような影響を与えているのかといったこと検証する実験をしています。このように、これからの宇宙開発にはICTが不可欠といえるのです。

ICTの進化が宇宙ビジネスの可能性を広げていく

人工衛星を利用する宇宙ビジネスとしてまず思い浮かぶのは、気象衛星による天気予報や災害予報、測位衛星による位置情報サービス、通信衛星によるインターネットサービス、放送衛星による衛星放送サービスなどがあります。このうち測位衛星を使うサービスには、全地球規模のシステム(GNSS)として米国の「GPS」、ロシアの「GLONASS」、欧州の「Galileo」、中国の「北斗」があります。日本も、西太平洋地域をカバーする「準天頂衛星システム(QZSS)」を構築しており、常時日本上空をカバーできる現在4機の準天頂衛星「みちびき」によるサービスが2018年11月には始まる予定です。

衛星ビジネスで近年注目されているのが、地球観測衛星(リモートセンシング衛星)を使ったサービスです。リモートセンシングとは、衛星に搭載した光学センサーや電波センサーにより地表の状態を観測する技術で、気象衛星もリモートセンシング衛星の一種です。

可視光や赤外線を観測する光学センサーは高解像度画像を撮影できる反面、夜間や曇天下では観測できません。これに対しマイクロ波を地表に照射した反射波や、地表から自然に放射されるマイクロ波を観測する電波センサーは、昼夜・天候を問わず、植生下の地形や海面温度、積雪量などを観測できます。原理上は、光センサーより解像度が低くなりますが、近年は合成開口レーダー(SAR)という技術により光センサー並みの解像度を実現しています。

リモートセンシングを使うと、天気予報や地形図の作成などはもちろん、AIやビッグデータ解析によって、農作物の適切な収穫時期、森林の成育/伐採状況、海面温度や海流に伴う魚群の位置などを予測できます。例えば、数百基単位の数量で人工衛星からリモートセンシングの技術で「地球に関する情報」を収集し、その膨大な情報をAIで解析することで、地震や火山活動、地滑りなど、現在では困難な自然現象の予測までを可能にしようという研究もあります。

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地球観測衛星など、遠く離れたところから、
さまざまな対象物の大きさや形状、性質を観測する技術がリモートセンシング

さらに、オイルタンクの蓋(ふた)の高さから石油の備蓄量を算出したり、駐車場の混雑具合から売り上げを予測したり、工場の熱源から稼働状況を把握したりするといったことも可能です。

このような予測の信頼性は、情報更新頻度によって高まりますので、最近は、小型衛星を多数打ち上げて協調運用させることで情報更新頻度を高める「衛星コンステレーション」が導入されています。ICTによるダウンサイジングが打ち上げコストの低減をもたらし、多数の衛星を利用するシステムを実現したといえます。

最近では、宇宙旅行や宇宙での資源開発、月や火星への移住、宇宙でものを作る宇宙工場なども新たな宇宙ビジネスとして注目されています。ICTの進化は宇宙ビジネスの可能性を大きく広げました。今後は、ロケットや人工衛星、宇宙ステーションなどを活用したビジネスだけでなく、例えば、宇宙からの地上測量により地上の資源を効率的に開発したり、災害に強く安全な都市開発に取り組んだりといった宇宙から得られるデータと関連したビジネスが生まれてくるかもしれません。また重力の影響を受けない宇宙工場では、地上の工場よりも均一な状態の素材や精密機器の製造が可能となります。現在の技術では作れない機器を活用することで、ICTもまた、さらに進化していくでしょう。広大な宇宙空間に向かい、期待は膨らんでいきます。

【 制作/コンテンツブレイン 】

2018/11/13

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