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介護者の身体的負担を軽減するパワードスーツも登場

介護職を離職する理由の一つに「肉体的にきつい」というものがあります。特に、自力で起き上がることができない高齢者に床ずれができないように体位変換したり、ベッドから車いすに移したりする仕事は若い人でも腰や腕への負担が大きいばかりか、持ち上げるのに手間がかかれば介護を受ける側にも苦痛をもたらし、安全面でも好ましくありません。まして、自宅で80代の親を60代の子が養うようないわゆる「老々介護」では、子供が腰を痛めると共倒れになってしまいます。そこで最近は、「パワードスーツ」とも呼ばれる「パワーアシストスーツ」を導入する介護施設が増えています。

一口にパワーアシストスーツと言っても、介護する人の負担を軽減する「介護支援型」と、介護される人の自立を助ける「自立支援型」があります。介護支援型のパワーアシストスーツは主に腰の動きを補助するもので、上半身のパーツと下半身のパーツが蝶番の役割を果たす腰の部分で繋がり、腰の曲げ伸ばしの動作をアクチュエーターが補助します。アクチュエーターの動力源としては、AC電源は引っ掛ける危険があるので充電式バッテリーが使われるほか、電気の代わりに圧縮空気を使うものもあります。
パワーアシストスーツは装着にある程度の手間や空間が必要なため、一度の作業で連続して重量物を運ぶことが多い農業、建設業、運輸業などの現場では導入が進んでいます。一方で、高齢者を移動させる機会が散発的に発生する介護の現場では、スーツ脱着に手間がかかることやスーツ自体の重量が業務の妨げになって普及があまり進んでいない面もあります。「パワーアシストスーツは導入したけど使っていない」という声も聞きます。しかし、介護を必要とする高齢者の増加は介護従事者のそれを凌ぐペースで進みますので、脱着のしやすさや軽量化など介護に適応する改善が進めば、安全面からも「パワードスーツ」の導入が進むことになるでしょう。

ICTが支える高齢者や障がい者の自立

介護や支援を受ける側でもICTの活用は進んでいます。例えば、IoTで利便性を大きく向上しているのが新しいコンセプトの「バリアフリー住宅」です。

バリアフリー住宅というと、車いすの高齢者や障がい者が暮らしやすくするために手すりをつけたり段差を解消したりするリフォーム住宅がまず頭に浮かぶと思いますが、これらで実現できるのは、生活の不便さを減らすことまででしょう。しかし、ICTを活用すれば、従来の住宅より一歩進んだ快適な生活を送ることができます。例えば、今ではすっかりおなじみになった、音声によるエアコン、テレビ、電灯などの操作です。車いすだとリモコンを探して室内を動き回るにも一苦労ですからICTのメリットを健常者以上に感じることができます。エアコンや浴室暖房などを簡単に起動することで、高齢者にとって危険な温度の急変(ヒートショック)を和らげる効果も得られますし、雨風や外気温、騒音などを感知して窓の開閉やロックを自動的に行うことも可能です。
また、3DCGソフトを使うと、図面ではわかりづらい通路の広さや、キッチン、トイレ、風呂などのレイアウトの使いやすさ、車いす目線での見渡しやすさなどを、バリアフリーの設備や住宅を作る前に把握できて便利です。

さらに、認知症を抑制するコミュニケーションロボットも活躍しています。介護現場ではコミュニケーションが重要です。会話の少ない高齢者ほど認知症になる確率が高いとされる意見もあり、介護施設ではさまざまなイベントを設けてコミュニケーションの場を増やしています。また、寝たきりでほとんど動こうとしない高齢者が、小さい子供が寄ってくると手を出して触ろうとしたり、人形でも世話をしたがったりするなど、「自分にも役割がある」と思うことが活力の源泉になるといわれています。その一環として、コミュニケーション目的に開発されたロボットを導入し、カリキュラムに組み込む施設が増えています。

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コミュニケーションロボットの活用には、認知症の進行を抑制する効果が期待されている

コミュニケーションロボットは、アニマルセラピー効果もあると認められたアザラシ型ロボット「パロ」や、今年12年ぶりに新モデルが登場した犬型ロボット「aibo」など、早くから介護の現場で使われてきました。近年登場したモデルは、優れた音声認識機能とAI的アルゴリズムにより、より的確な受け答えができるようになって、高い認知症予防効果が得られるとも言われています。

一方、パワーアシストスーツに対して、介護を受ける側の人が利用する「自立支援型」ロボットにもさまざまなタイプがあります。
一般的には、①情報を感知する、②判断する、③動作するという3つの要素技術を有する知能化した機械システムがロボットと定義されています。例えば、交通事故や脳梗塞などの疾病による歩行障がいからの回復を目指す人向けのリハビリ用ロボットには、下肢に装着して足の動きを補助する「ロボットらしい」タイプのほかにも、二輪や四輪の手押しカート型のものがありますし、車椅子の動きとGoogleマップが連動するものもあります。そして、自力でトイレまで行けない人が利用するポータブルトイレも、高度な排泄物処理機能を備えた介護ロボットに分類されるものがあります。また、下腹部に装着したセンサーが尿の膀胱への溜まり具合を計測し、排尿のタイミングを知らせてくれる装置もロボットの一種で、姿形は違っても、いずれも利用者の生活力を向上させて自立への意欲を持たせるという点では共通しています。

その他にも、視覚障がい者や聴覚障がい者の生活支援にもICTは活用されています。ユニバーサルデザインの取り組みの中には、視覚障がい者がいる場所の近くにある障がい者向けのトイレやスロープなどのユニバーサル設備を音声で自動案内するサービスもあります。

少子高齢化が急速に進む我が国では、今後、介護やバリアフリーへの要求はますます高まり、就業人口の減少を補うICTの役割も高まっていきます。裁量労働制やテレワークなど、働き方の多様化もその動きに拍車をかけ、誰もが安定した老後や充実した支援を受けられる社会を目指すために、ICTの適用範囲を広めていくことが、我が国の産業への官民挙げての課題となっています。

【 制作/コンテンツブレイン 】

2018/12/12

  • ※ 記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。

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