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ニッポン・ロングセラー考
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アコースティックピアノのトップメーカーであるヤマハが“新しい鍵盤楽器”を目指してつくり上げた電子ピアノ「クラビノーバ」。最新モデルでは、革新的な鍵盤の仕組みによってグランドピアノに迫る演奏感と弾き心地を実現することに成功した。1983(昭和58)年の発売から累計販売台数100万台を超える人気の背景には高い技術力はもちろん、「ピアノのヤマハ」だからこその“感性”があった。

“新しい鍵盤楽器”を目指して誕生した「クラビノーバ」第1号

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明治時代、創業者の山葉寅楠氏が静岡県浜松市にある浜松尋常小学校(現・元城小学校)の壊れたオルガンを修理したことからはじまったヤマハ。

1980(昭和55)年前後の約30万台をピークに、現在は年間販売台数が2万台ほどとなっている日本のアコースティックピアノ市場。そんな中、住環境の変化やデジタル技術の進化によって売り上げを伸ばしているのが、電子ピアノだ。中でも、アコースティックピアノのトップメーカーであるヤマハが手がける電子ピアノ「クラビノーバ」は1983(昭和58)年の初号モデル「YP-30」発表から販売台数を増やし続け、ついに国内累計販売台数が100万台を突破。楽器を超えて工芸品に近いアコースティックピアノづくりで高い評価を得てきたヤマハが、精密機器業界からの参入もある電子ピアノ市場において、「最も本物のピアノに近い」との呼び声も高い「クラビノーバ」にどのようにして辿り着いたのか、話を聞いた。

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ヤマハのロゴマーク。文字横のマークは調律に使う道具「音叉(おんさ)」。3本の音叉は「技術」「製造」「販売」の協力体制によるヤマハのたくましい生命力を表現している。

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クラビノーバの第1号モデル「YP-30」。ブザー音のようだった従来の電子楽器に比べると、ピアノだけでなく、様々な楽器の音色で演奏することができる「YP-30」は画期的な進化だった。

ヤマハ株式会社の前身である日本楽器製造株式会社の創業は、東京に初めて電灯が灯った1887(明治20)年までさかのぼる。創業者の山葉寅楠氏が静岡県浜松市で1台の壊れたオルガンを修理したことをきっかけに、オルガンづくりを決意。1897(明治30)年には日本楽器製造株式会社を設立し、1900(明治33)年には国産初となるピアノの製造を開始する。そして、その2年後には国産初のグランドピアノが完成。1904(明治37)年にアメリカで開催された大博覧会では日本楽器製造によるピアノとオルガンが名誉大賞を受賞し、同社はピアノのトップメーカーへの道を歩み始めることとなる。

電子ピアノ「クラビノーバ」の第1号モデル「YP-30」が発売されたのは1983(昭和58)年、日本楽器製造が創業100周年を機に、現在のヤマハ株式会社に社名を変更する4年前だ。当時、すでにアコースティックピアノにおいて世界シェア1位となっていた同社だが、「クラビノーバ」開発時のコンセプトはアコースティックピアノの代替品ではなく“新しい鍵盤楽器”をつくるということだった。「クラビノーバ」という名前は、ラテン語で「鍵盤楽器」を意味する「Clavier(クラビア)」と「新しい」を意味する「nova(ノーバ)」を組み合わせた造語だ。弾き方こそ鍵盤楽器だが、ピアノだけでなく、ハープシコード(チェンバロ)をはじめ様々な楽器の音色で演奏することができ、ピアノを超えた新しい楽しみ方を提供する楽器。1970年以降、同社がエレクトーンをはじめとする電子楽器の開発で培ってきたノウハウと技術力をもって完成させた「クラビノーバ」の第1号モデル「YP-30」は、まさに“新しい鍵盤楽器”の名に相応しい画期的な楽器だった。ちなみに、同じく電子楽器の「シンセサイザー(DX7)」も同年に発売され、当時のバンドブームの波に乗り、こちらも同社の大きなヒット商品となった。

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