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SFA新時代:事例に学ぶ 顧客価値を創造することで、高収益企業へと生まれ変わったA社(前編)
SFA新時代:事例に学ぶ 顧客価値を創造することで、高収益企業へと生まれ変わったA社(前編)

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BtoB企業における営業アプローチの変革が急務とされる中、営業日報の延長や案件管理ツールとして位置づけられてきたSFA/CRMが、これまでとは異なる用途で活用されるケースが増えつつある。本稿では、熾烈な顧客争奪戦の中で事業の変革を迫られていたA社が、SFA/CRMの活用を通して高収益企業へと生まれ変わっていった過程を、前編・後編の2回にわたって紹介する。

A社の取り組み
~業務改革プロジェクトの立ち上げ~

A社が属する業界では、ここ数年、他業種からの新規参入の活発化などによって競争が激化し熾烈な顧客争奪戦が繰り広げられていた。

A社においても、得意顧客との商談を競合他社に奪われる、また既存の顧客・事業の防衛のために新規顧客の開拓や新たな成長分野への取り組みが手薄になるといった問題が生じるとともに、売上・利益の減少に歯止めがかからない状況が続いていた。

こうした事態を抜本的に改善するため、A社では副社長をリーダーとする全社的な「業務改革プロジェクト」が組織されることになった。

A社が置かれているような厳しい競争環境において、単純な「モノ売り」の域を出ないような顧客取引や、単なる「売り手と買い手」の間柄に止まっているような顧客との関係は常に競合の脅威にさらされ、収益の安定化を図ることが難しい。そのため、A社では新たな「顧客価値の創出」を主眼とした抜本的な業務改革を進めるとともに、併せてSFA/CRMの再構築に着手することとなった。

業務改革の「7つのポイント」

プロジェクトのスタートにあたり、リーダーである副社長は以下の改革方針を打ち出した。

方針1:顧客価値の創出
戦略的に重要な顧客に向けて、事業パートナーとしての「顧客価値」を創出することにより、競合他社よりも優位なポジションを確立し収益の安定化を図ること。

方針2:組織的な営業アプローチの実現
顧客価値の創出に向け、顧客が抱える事業上・業務上の課題の総合的な把握、自社の製品・サービスをミックスした最適な解決策(ソリューション)の提供を可能にする「組織的な営業アプローチ」を実現すること。

こうしたあるべき姿の実現に向け、A社の業務改革プロジェクトは以下の7つの改革に取り組むこととなった。

改革ポイント①顧客セグメンテーションを通じた営業リソース配分の最適化

A社の顧客戦略の最大の問題点は、既存顧客との取引が重視されすぎているところにあった。そのため、今後の成長源として期待される市場や顧客に対して十分にリソースを割くことができなかったのである。

それどころか、同社では、そもそも統一的な顧客セグメンテーションのルールそのものが社内に存在しておらず、顧客重要度に関する共通基準が確立されていなかった。その結果、営業活動が、すでにリレーションが確立されていて受注・売上が読みやすい既存顧客中心になってしまい、本来であれば営業リソースを集中的に投入すべき「将来の重要顧客(注力顧客)」に対する営業がおろそかになってしまっていた。

この問題を解決するためには、営業活動の最上流となる工程の改革から着手する必要がある。つまり、ターゲットとする市場や顧客をどう捉えるかを明確に定義し、営業としての戦略方針を定めなければならないわけだ。

そこでA社では、顧客の重要度を「取引規模」(横軸)と「売上高成長率」(縦軸)の2つの指標で表して十字グラフ散布図上にマッピングし、「重要顧客」「維持顧客」「注力顧客」「なりゆき顧客」の4つの顧客セグメントに分類することとした。これにより、顧客セグメントごとの重要度や特性に応じて営業リソースを配分することが可能になっただけでなく、営業活動方針、チャネル戦略、販促戦略といった営業戦略の立案もできるようになったのである。

改革ポイント②アカウントプランをベースにした重要顧客の攻略・深耕

上記のような顧客セグメントが確立されていない時期においては、当然、個別顧客(アカウント)に対してソリューション営業を展開するという意識も希薄だった。重要顧客に対しても個別の商談ごとに対応しており、中長期的な視野に立って取引関係を確立・拡大していくような取り組みは見られなかったのだ。また、営業スタッフをサポートする専門家やバックアップ体制も不十分だったため、個別顧客からの要求にも十分に応えきれていなかった。その結果、取引額の大きな顧客との商談を競合他社に奪われるといった事態もたびたび発生していた。

だが、顧客セグメントによって重要顧客をきっちり定義し、そこに営業リソースを投入できるようになったことで、状況は一変した。重要顧客セグメントの顧客(アカウント)を対象に、顧客ごとのアカウントプラン(顧客攻略計画)を綿密に策定し、実行管理する仕組みを構築することが可能になったのだ。

A社では現在、アカウントマネージャーを責任者として営業部門・技術部門・顧客サポート部門など関係部署を網羅した組織横断的なアカウントチームを編成し、アカウントに対する重層的で強力な顧客対応体制を実現している。さらには、アカウントマネージャーが主体となってアカウントプランを策定するとともに、その実行状況を定期的にモニタリング・レビューし、計画との乖離に対しては適切な対策を講じることが可能なプロセスも規定した。

なお、アカウントプランには、次の項目を盛り込むことを定義し、標準化を図った。
①顧客の置かれている事業環境、②顧客の主要な課題、③企業プロフィール、④自社との取引状況、⑤購買意思決定プロセスとキーパーソン、⑥顧客人脈マップ、⑦課題に対する提案シナリオ、⑧競合他社の動き、⑨アクションアイテム、⑩提案推進体制、⑪活動KPIとマイルストーン

改革ポイント③商談マネジメントの強化を通じた受注確度の向上

プロジェクトの開始前、A社では商談登録ルールの整備・運用が徹底されておらず、商談の状況がパイプライン(見込み客から購入客になるまでのプロセス)内のどこにあるかをタイムリーに把握することができなかった。そのため、営業マネージャーは週次ミーティングや営業スタッフへの個別確認を通して情報を収集せざるを得ず、状況の変化に対応したり部下の指導・助言を的確に行ったりすることが困難だった。その結果、最終的に受注できたかどうかや受注金額だけを管理するアウトプット管理に陥ってしまい、個人の力量に依存した属人営業・御用聞き営業に終始していた。

こうした個人の力量に依存した営業活動から脱却し、営業力の全社的な底上げを図るためには、プロセス管理の方法を、標準化されたプロセス定義と役割・活動内容に基づいて商談を行い、その進捗状況と結果を管理するといった形態へと変える必要がある。

そこでA社は、顧客の購買プロセスと関連づけて営業プロセスを定義し標準化することにより、関与者との関係性を進化させるとともに、関与者にとって最適なタイミングで必要な情報を提供できるようにした。さらに、商談の進捗状況を表すステータスを定義したり、役割・活動内容やアウトプット、移行基準を明確化したりすることによって、個人の力量や主観に頼らない管理を可能にしたのである。

改革ポイント④事業目標と商談状況の双方を踏まえた受注・売上目標管理の精度向上

A社ではまた、受注・売上目標が本社の鶴の一声で決定されており、実際の営業現場での商談状況を踏まえた、現実的で精度の高い数値計画にはなっていなかった。加えて、パイプライン内の商談状況がタイムリーに更新されず、進捗状況や受注確度の評価も営業スタッフの主観に頼っていたため、精度にバラツキがあり、着地見込みを正確に把握することが難しかった。その結果、目標や着地見込みと実際の決算数字との間に、かなりの差異が生じていた。

着地見込みを正確に把握するために必要なのは、商談状況をタイムリーにアップデートすると同時に、進捗状況や受注確度の評価を客観的に行うことによって、予測精度を高めることである。

そこでA社では、プロセス定義で定められた評価項目をすべてチェックすることにより、進捗状況や受注確度を向上させることが可能な仕組みを構築することにした。評価を行う際には、プロセスごとに「確認した」「提出した」「合意した」といった具体的行動の有無をチェックさせることで客観性が担保されるようにしている。これにより、精度の高い進捗状況と受注確度が自発的かつタイムリーに更新されることとなった。

改革ポイント⑤コミュニケーション/コラボレーションの強化を通した組織能力の強化

顧客に対して提案活動を行う際には、関連部署の協力・支援が必要になることが多いが、A社ではそのたびに関係者と会議や打ち合わせをしなければならず、商談状況の共有や組織間の連携が極めて非効率な状況にあった。また、提案内容の多くが営業スタッフや技術者の属人的な知識や経験に依存しており、組織横断的にナレッジを共有・活用するためのプロセスや仕組みに欠けていた。

この問題を解決するためにA社は、アカウントチームのメンバー全員が商談状況や顧客との折衝内容を共有できるような仕組みを考えた。これにより、関連部門からの協力や支援をタイムリーに仰ぐことが可能になったわけだ。ここには、セールストーク集、商談シナリオ、成功事例、競合比較など、商談を有利に進める上で有効なナレッジコンテンツを規定し、組織全体で共有・活用する仕組みも組み込まれている。また、ナレッジマネジメントのプロセス定義や専任のナレッジマネジメント推進チームを設置し、ナレッジ共有・活用をサポートする仕組みも強化された。

改革ポイント⑥営業間接業務の効率化による顧客訪問時間の創出

業務改革プロジェクトの一環として、A社では営業スタッフの顧客訪問時間および回数の実態を調査したが、その結果、付加価値のある商談に費やしている時間が極めて少なく、営業活動の10~20%程度の時間しか商談に割かれていないことが判明した。営業時間の多くが、報告書や見積書、契約書、請求書の作成、会議、内勤デスクワークなどに使われており、正味で顧客と接している時間はごく限られていたのである。重要顧客との緊密なリレーションを築くうえでも、営業の間接業務を圧縮して、正味の商談時間を捻出することが求められていたわけだ。

そこで、本来バックオフィスで処理できるような業務を営業スタッフが自ら行っていたケースでは、業務プロセスを変更し、バックオフィスに業務を集約することにした。具体的には、見積書、契約書、請求書などの書類作成については、営業サポートセンターに業務を集約。同時に、本社と営業所の業務分掌を見直して、二重になっていた管理業務などはすべて本社に集約した。さらに、顧客からの商品やサービスに関する問い合わせ対応については、コールセンターに一元化された。

その結果、間接業務の大幅な効率向上が実現し、営業スタッフはそれまでの2倍の時間を正味の商談に割けるようになったのである。

改革ポイント⑦顧客情報管理の一元化を通じた顧客への理解・対応の向上

A社ではこれまで、商品ラインごとに顧客情報がバラバラに管理されており、顧客単位での統一的な顧客情報管理が実施できていなかった。その結果、顧客の全体像を正確に把握することが難しく、顧客の要望に迅速かつ的確に応えることができなかった。

この問題に対処するため、業務改革プロジェクトでは、全社共通の管理手段として共通顧客IDを定義し、顧客単位での名寄せ・統合を行うことによって、望まれる顧客情報管理基盤の構築に踏み出した。これにより、顧客単位で実施される顧客セグメンテーション、営業活動方針の立案、アカウントマネジメント、顧客問い合わせ対応といった業務の効率化が実現することとなったのである。

前編のまとめ

以上、前編では、A社を成功に導いた7つの改革ポイントについて紹介した。

本事例においてA社は、新たな「顧客価値の創出」への取り組みを通して自社の総合力を引き出し、企業全体の収益力と生産性を向上させることに成功した。ビジネスのアジリティ(俊敏性)がますます強く求められる中、こうした「顧客価値の創出」に主眼を置いたBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)は、その即効性の高さから今後も広がりを見せていくものと考えられる。

次回、後編では、A社の7つの改革においてSFA/CRMが果たした役割を紹介するとともに、BtoB営業の変革期における「SFA/CRMの新たな可能性」を探る。

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