2019.08.06

VDI(仮想デスクトップ)の導入・運用コストは?

セキュリティ強化やテレワークなどの面から導入が進められているVDI(仮想デスクトップ)ですが、その導入にはどれだけのコストが必要なのでしょうか。ここではオンプレ型とクラウド型のVDIに必要となる導入・運用のコストを解説していきます。

VDIの導入コスト(オンプレ型とクラウド型)

VDI導入にかかるコスト比較

※凡例: ●:必須  〇:お客様要件による

  オンプレ クラウド
サーバー アウトソース可能

※ライセンスの提供有無はベンダーにより異なる
ストレージ
VDI用ソフトウェアライセンス
仮想OS用接続ライセンス(VDA)
設計・システム構築・検証
サーバールーム
(ラック・電源・空調等)構築
回線敷設
VDI用端末

まずオンプレ型VDIを構築するためには、サーバーとストレージが必須となります。高い性能の確保や大人数収容が必要な場合には、高性能なサーバーとストレージが必要です。クライアント用としてVDI用の専用端末が必要となる場合もあります。小型のシンクライアント端末も提供されており、セキュリティレベルを強化できます。
また、システム構築のためのコストも考慮が必要となります。内訳としては、各種ソフトウェアライセンス、システム構築(SI)コストとなります。システム構築はほとんどの場合、外部ベンダーに依存することとなり、ベンダーや、要望するサービスレベルによりコストは大きく変動します。
さらに、サーバールームやデータセンターへの機器設置、レイアウト変更などの設置工事のコストも必要です。電源やサーバールームを安定稼働させるための空調等も考慮しなければなりません。 このように、オンプレ型VDIは要望するサービスレベル次第で大きな初期投資がかかりがちです。

このオンプレ型VDIの初期費用を軽減するため考え出されたのがクラウド型VDIです。
コストの内訳をみると、サーバーやストレージなどの一部ハードウェアや設備の導入コストがクラウドサービス利用料に加味されているので、計画的なコスト投資が可能となります。
また、設計に高い専門知識を要するVDIの導入は、いきなり全社展開をするのはリスクがあります。できるだけ投資リスクを抑えるためにも一部の部署からパイロット導入を進め、順次拡張するのが一般的です。クラウド型であれば、設備のスケールアウトやライセンスの追加購入も容易に行えるメリットもあります。

VDIの運用コスト(オンプレ型とクラウド型)

VDIの運用にかかるコスト比較

※凡例: ●:必須  〇:お客様要件による

  オンプレ クラウド
サーバー側H/W維持管理 アウトソース可能
電気代・サーバールーム維持コスト
運用コスト
(マスター管理、ユーザー管理)
障害対応
ヘルプデスク
接続元端末の管理コスト
回線使用料

オンプレ型の場合、まず、ユーザーサポートとして、ユーザー情報の追加・変更や、ユーザー向けのヘルプデスクなどが必要となります。次に、ソフトウェア管理として、セキュリティ確保等のためにも重要となるアプリケーションのバージョンアップやパッチ適用などが必要です。さらに、ハードウェアのメンテナンスも必要となりますが、数年単位でハードウェアの更新も行わなければなりません。もうひとつ、突発的なコストとしてシステムエラーやサーバー故障などの障害対応も求められるでしょう。ここまでの作業の多くは、外部ベンダーに依存するものとなり、そのコストもベンダーにより大きく変動します。
さらに、オンプレ型では、データセンターを借りている場合は賃料がかかりますし、ハードウェアを稼働させるために電気代も必要となります。
対して、クラウド型VDIの場合、ハードウェアの維持管理・障害対応などはサービス提供事業者が行うためそのコストは不要となりますが、月々の基本サービス料が必要となります。利用者数に応じて、基本サービス料が月々課金されていきます。また、ユーザー情報変更やアプリケーション追加など、設定変更に伴うコストもかかります。
自社システムをVDIから利用したいなどという場合はサービス提供事業者のデータセンターと接続する回線のコストも考慮が必要です。

まとめ:自社の要件を明確にして選択することがおすすめ
オンプレ型VDIは、導入時に高額なコストが必要となり、クラウド型VDIは稼働後に月々の使用料が課金されていきます。単純に比較することは難しく、維持管理コストやデータセンターの賃料の拡張計画も含めて、短期・中期でコスト検証することをおすすめします。
ひとつ気を付けたいのは、オンプレ型VDIの性能確保にかかるコストは算出が簡単ではないこと。クラウド型VDIと同等の品質レベルを維持するには割高になる可能性が大きくなります。
コストによってオンプレかクラウドかを検討する場合は、自社のサービス要件を明確にしたうえで選択されることをおすすめします。