2019.11.05

VDIの構築から運用までの手順とは?オンプレ・クラウドを比較

テレワークの実現へ向けて仮想デスクトップの導入企業が増えていますが、「具体的に導入を検討しているけれど、どのような手順で導入するのだろう?」「検討開始から稼働スタートまでどの程度の期間かかるのだろう?」というお客様も多いようです。そこで今回は、オンプレ型に比べて手軽に導入・運用できるクラウド型仮想デスクトップ(DaaS)における導入手順を「要件定義」「設計・設定」「運用」といったステップごとに解説します。

<DaaS導入フローの一例>


Step1:「要件定義」自社で必要となる機能などを整理

まず、自社の仮想デスクトップ導入の目的を明確にします。たとえば、「セキュリティ強化」「テレワークの実施」「情報システム部門の運用負荷軽減」「BCP(事業継続計画)」などです。具体的には、「東京2020大会に向けてテレワークの導入実験を行う」という企業も多いようです。

その他、導入規模(全社展開なのか、一部部署のみの導入なのか)、利用開始スケジュール、予算感、使用端末イメージを社内関係者で整理し、これら要件に合ったサービス提供実績があるかどうか等も加味しながらサービス提供事業者を絞り込みましょう。

次に、サービス提供事業者からのヒアリングなどを通して、より細かなユーザー部門の現状と要求を確認し、必要となる機能・設定などを整理します。そのために、各種ヒアリングシートを用意しているサービス提供事業者もあります。ヒアリングシートで現状のネットワーク構成、利用予定者数、同時利用台数(同時接続数)、利用OS種別、インストールアプリケーションなどを明確化していきます。これらの確認事項はパラメータ設定等に活用されます。

オンプレの場合、要件を整理した後、システム構築がスタートしますが、クラウドの場合には、サービス提供事業者側で、提示された要件に即し準備を行いますので、プロジェクト遅延などのリスクを軽減しながら進行ができます。そのため、いかに体系的で抜け漏れのないようヒアリングを行えるか、サービス提供事業者側の経験値が重要な鍵を握ります。

Step2:「設計・設定」回線工事・各種設定を行い稼働開始へ

要件が固まったら、サービス提供事業者側での構築作業に入ります。オンプレの場合、ここからの構築・検証に時間がかかります。しかし、クラウドの場合、回線以外はサービス提供事業者が導入までのノウハウを有していればスムーズに利用スタートできます。

自社ネットワークとサービス提供事業者を閉域回線で接続する要件をお持ちの場合については、回線提供キャリアでの実際の工事が必要となりますので少し手間がかかります。どんな回線を選定したらよいか、不安な場合はサービス提供事業者へ相談してみてはいかがでしょう。利用予定者数などから必要な閉域回線の帯域を考慮した最適な回線提案を受けることができれば、スムーズに回線の要件を固め、回線提供キャリアへの閉域回線申し込みも安心して実施することができるでしょう。

さらに、ユーザー登録、設定マニュアル作成、仮想デスクトップの検証、インストールアプリケーション動作検証なども行い、いよいよ稼働開始です。

なお、要件定義と設計・設定、稼働開始までには数ヵ月~半年程度かかることをあらかじめ想定しておく必要があります。

Step3:「運用」導入開始後の拡大展開も想定

運用開始した後で、「新たに仮想デスクトップで利用するアプリケーションを追加したい」「仮想デスクトップの利用者数を変更したい」といった新たな要件が生じてくることも考えられます。これはサービス提供事業者に依頼すれば速やかに変更することもできます。

また、仮想デスクトップはスモールスタートを採用するケースもありますが、その場合、稼働開始は第1ステップとなります。例えば、営業部門の一部で利用を開始し、その状況を確認しながら営業部門全体への導入、さらに全社展開するなどという場合もサービス提供事業者に相談してみることで、全社でのテレワーク可能な環境の準備も容易に実施できることでしょう。

仮想デスクトップは、オンプレ型の場合、設計・構築・稼働に至るまで高いレベルの技術が求められますが、クラウド型にすることで構築のほとんどを実績のあるサービス提供事業者にアウトソーシングできますから、安心して導入することができるでしょう。

まとめ
クラウド型仮想デスクトップの導入には、要件定義、設計・設定、運用、それぞれにサービス提供事業者が密接に関わっています。安定した仮想デスクトップ環境を構築するには実績やアセスメントの経験値が豊富なサービス提供事業者を選定することで、円滑な仮想デスクトップ導入を実現できると考えられます。