2022.02.09

デスクトップ仮想化による端末コスト・管理稼働低減効果を検証

働き方改革の一環としてテレワークを推進していく上で、課題となるのが端末の管理です。営業担当者に2台目のPCを持たせたり、在宅勤務用にPCを貸与したりする企業も存在していますが、PC台数が増えることで、コストがかかったり、情報システム部門の負荷が増えたり、セキュリティの不備が指摘されるケースも出てきがちです。こうした課題の解決に有効なのが仮想デスクトップ(VDI)です。今回はクライアント端末の仮想化により端末台数を削減して、働き方改革の推進とコスト削減を両立させた事例を紹介いたします。

そこで本コラムでは、仮想デスクトップ(VDI)を検討しているもののまだ踏みきれていないという事業者様に向けて、定量効果・定性効果の観点から費用対効果について説明します。

課題

オフィス用PCに加え、働き方改革の一環でリモートワーク用端末を導入したが、端末コストや管理稼働が増加していた。

解決策

接続先のクライアント環境を仮想化することで、オフィス用PCの削減を実現。

効果

仮想化によりクライアント端末環境の全体最適を実現。オフィス用PCのコストや管理稼働を削減。テレワーク時の課題である情報漏えいリスクの低減も実現することができた。

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課題:テレワークで働き方改革!でも端末が増えるとコストも管理稼働も増大……

独自の技術力と販売網を持つ製造・販売業のB社。同社では働き方改革を推進中で「社員のモチベーションを高め、優秀な社員の離職防止と新規採用を目指そう」とB社社長が旗振り役になっていました。

同社では、働き方改革を推進していくために、「テレワーク」を積極的に導入してきました。営業担当者にもう1台のリモートワーク用PCを携帯させ、オフィス業務ができる環境を提供。

しかしこのプロジェクトを進めるうちに、B社社長はテレワークの課題を指摘されたのです。

課題1 端末コスト増大

働き方改革推進のための必要経費とはいえ、1人の社員に2台の端末を持たせると、ハードウェアコストは単純計算で倍近くかかります。同社では営業向けにオフィス用のPC100台をレンタルしていましたが、これが200台へと倍増し、レンタル料を無視できなくなりました。

また、端末台数が倍増したことで、仮に月間のPC故障率を1%とした場合、毎月2台のPCが故障する計算となり、故障対応への稼働・コスト、および数年後の端末リプレイスのコストも予算化する必要が出てきました。

課題2 運用負荷増大

利用するPCの数が増えたことにより、OSのバージョンアップやセキュリティソフトのパターンファイル更新、フィーチャーアップデートに伴うネットワーク増強検討といった運用維持負荷や故障対応時の稼働が増大します。

OSアップデートが終了していないと、セキュリティリスクもありますし、社外で利用しようとしてもいきなりアップデートが開始され、なかなか業務がスタートできません。

課題3 セキュリティの問題

PCを紛失する、盗まれる、企業ネットワークに侵入される、機密情報にアクセスされる、パッチ適用漏れによるセキュリティホール・・・・・・。PCが増えると、機密情報漏えいの危険性も増加します。

解決策:クラウド型の仮想デスクトップ環境(VDI)を採用

働き方改革を目的としてリモートワーク用のPCを導入したにもかかわらず、情報システム部門に限っては、逆に残業が増えるといった状況になってしまっていたのです。
そこでB社社長は、課題解決のために情報システム部門統括部門にプロジェクトを発足させました。

これまで、営業社員は社外からオフィスに設置しているPCに対して、それぞれリモートデスクトップでアクセスして業務システムを使用していましたが、情報システム部門が提案した解決策は仮想デスクトップ環境(VDI)の導入でした。

オフィスで使用していた業務用PCのレンタルをやめ、各社員の端末をモバイル用の1台に集約。これによりオフィスでもリモート環境でも使用するPCは社員1人につき1台となったのです。

情報システム部の担当者が注目したのが以下のメリットです。

  • 初期投資が安く、ランニングコストも計算しやすいこと
  • 安定した品質で社員利用が可能であること
  • オンプレミスよりも早く開始できること

効果:仮想デスクトップ環境(VDI)でコスト削減、運用負荷軽減、セキュリティ強化

採用が決定してから5カ月で、B社では50ライセンスを取得し仮想デスクトップ(VDI)を開始。社内への普及が進み利用率が高まってきたので、その5カ月後にはさらに50ライセンスを導入しています。

効果1 コスト削減

仮想デスクトップ(VDI)の導入により、B社の営業担当者は1台のPCで、オフィスに限らず、場所を問わずに同じPC環境で仕事ができるようになりました。
在宅勤務時もPCを会社から提供することなく自宅のPCを用いることで業務が可能となり、さらに、インターネット環境があるサテライトオフィスでも容易に仕事ができるようになりました。

このように仮想デスクトップ環境(VDI)によって、これまでよりも端末管理に伴うコストを削減しながら、働き方改革の推進が可能となったのです。

効果2 運用負荷軽減

B社では運用負荷増大の課題解消としてリンククローン方式の仮想デスクトップを採用。仮想デスクトップ側のOSのアップデートも一元化対応が可能となり管理部門の稼働を極小化できました。

仮想デスクトップ(VDI)導入により、2台目のPCのキッティングが不要となるため、新入社員への配備や在宅勤務希望者向けの作業、退職者への対応なども軽減。また、端末を誰が利用しているのか?どこで使われているのか?という端末自体の管理稼働も今までより軽減され、管理部門としてはその稼動を他の戦略的な業務に割くことができるようになりました。

効果3 セキュリティ強化

仮想デスクトップ(VDI)ではPCにデータを残しませんから、機密情報の漏えいを最小限に抑えられます。導入前は、管理しているPCごとにOSのパッチや、セキュリティ対策ソフトのパターンファイルの更新が最新化されているか、利用者個々にヒアリングを行いながら都度確認していましたが、VDIの導入によりそれらの作業も不要となりました。
結果として、セキュリティを強化しながらセキュリティ維持に必要となる稼動も極小化できました。

まとめ:コスト削減はもちろん、安全・安心なテレワーク

今回の事例のように、仮想デスクトップ(VDI)を導入することで、接続元のデバイスがひとつあれば場所を選ばずに仕事ができ、オフィス用・外出用というように複数のデバイスを用意する必要もありませんので、従業員のテレワークを活用した働き方改革の推進が進めやすくなります。従業員も時間を効率的に利用できるようになり、

情報システム部門にとっても、端末維持管理に伴う、運用稼働・コストの負荷を低減できますので、より生産性のある業務への稼働にシフトすることで、働き甲斐の向上にもつながるでしょう。

※上記事例は、対象企業の匿名性を確保するため企業属性など情報の一部を変更しています。

なお、NTTコムウェアでは自社のセキュリティ状況やテレワーク環境、コミュニケーション環境を簡単に把握できる「STC診断」をオンラインで無料公開しています。よろしければ、以下よりお試しください。

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よくある質問

デスクトップ仮想化で端末コストは削減できる?

クラウド型仮想デスクトップ(VDI)はサーバ上の仮想PCですべての処理を行うため、クライアント端末が高性能である必要はありません。また、1台のモバイルPCでオフィス、営業先、自宅などすべての環境から同じPC環境を利用することができ、一人の従業員に複数のPCを用意する必要がありません。

デスクトップ仮想化で情シスの労働コストは削減できる?

リンククローン方式の仮想デスクトップ(VDI)であれば、マスタPCに対してOSのアップデート、セキュリティパッチの適用を行うことで全従業員のPC環境に反映させることができるため、システム管理のための人件費を削減することが可能です。

オンプレミス型とクラウド型の導入コストの違いは?

自社サーバ内に独自に仮想デスクトップ環境を構築するオンプレミス型は初期コストが大きくなるというデメリットがあります。一方、クラウド型であれば使用する従業員の数に応じてアカウントを契約することができ、スモールスタートから将来のスケールアップまで柔軟に対応することができます。