新型コロナウイルスの流行によってテレワークの普及が急速に広まりました。
現在主流となっているテレワークは、コロナが流行する前の働き方とは全く違うものになったのをご存知でしょうか?現在はコロナ前に比べて多くの企業でテレワークが導入されていますが、そんな現代のテレワークにはいくつかの課題が見受けられます。
今回の記事では、テレワークの実施を検討している方のために、導入に向けて準備しておくことや導入の手順についてご紹介します。
テレワークを進める上で発生する4つの課題
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テレワークを進める上でいくつかの課題があります。ここでは、その中でも特に目立った4つの課題について取り上げていきます。
コミュニケーションの課題
テレワークの課題の1つとして、コミュニケーションの課題があります。
従来の出社型の働き方では、従業員同士が直接対面していたため、スムーズにコミュニケーションを取ることができました。
しかし、テレワークが主流になってからは直接対面する機会が少なくなり、PCを介してコミュニケーションを取る必要が出てきました。
結果的に、以前よりもコミュニケーション不足になってしまったと感じている方が多くなっています。
総務省のアンケート調査でも、同僚・上司との意思疎通や情報伝達に苦労したと回答した方が見られます。
また、コミュニケーション不足が原因で組織マネジメントが難しくなることも挙げられます。
出社型の働き方であればチーム全体を一目で見渡すことができますが、テレワークの場合は一人ひとりの作業内容や働きぶりを把握するのが難しく、それは結果として組織管理の難しさへと繋がっています。
現代のテレワークの働き方では、人材育成の面においても課題が浮かび上がっています。
例えば新入社員の研修やOJTなど、従来であれば対面して手取り足取りの教育を施すことができていましたが、テレワークだとそのような丁寧な教育を行うことが難しくなります。
新入社員にとっても、テレワークでの教育は不安を感じている方が少なくないようです。
労務管理面での課題
テレワークでは、労務管理の面においても課題があります。
出社型の働き方であれば社員一人ひとりを見渡すことができるため労務管理をスムーズに行うことができますが、顔が見えないテレワークの場合、社員一人ひとりの管理をするのが非常に難しくなります。
また従業員のモチベーション管理も課題です。テレワークの場合、自宅で勤務する時間が多くなり、仕事とプライベートを見分けるのが難しくなっています。
そのため高いモチベーションで働き続けるのが難しくなっている従業員も多いことが現状です。
またサービス残業や働きすぎの対策が難しいことも課題として挙げられます。
テレワークは労働時間を測定するのが難しく、結果的にサービス残業や働きすぎてしまう原因になりやすいです。
人事評価の面においてもテレワークは従来よりも難しいと感じている人が多いようです。
人の顔や人の働きぶりがテレワークでは見えないため、従来の人事評価制度をそのまま用いることが難しくなります。
セキュリティ面での課題
テレワークでは、セキュリティ面においての課題もあります。IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威2021」によると、セキュリティの観点において次に挙げるような脅威(リスク)があるそうです。
個人と組織に分けてそれぞれセキュリティの脅威としてピックアップされたものをご紹介します。
・個人
個人としてのセキュリティの脅威には、次のようなものが挙げられています。- 1位:スマホ決済の不正利用
- 2位:フィッシングによる個人情報などの窃取
- 3位:ネット上の誹謗中傷デマ
- 4位:メールやSMSなどを使った脅迫詐欺の手口による金銭要求
- 5位:クレジットカード情報の不正利用
- 6位:インターネットバンキングの不正利用
- 7位:インターネット上のサービスからの個人情報の窃取
- 8位:偽警告によるインターネット詐欺
- 9位:不正アプリによるスマートフォン利用者への被害
- 10位:インターネット上のサービスへの不正ログイン
・組織
組織としてのセキュリティの脅威には、次のようなものが挙げられています。- 1位:ランサムウェアによる被害
- 2位:標的型攻撃による機密情報の窃取
- 3位:テレワークとのニューノーマルの働き方を狙った攻撃
- 4位:サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃
- 5位:ビジネスメール詐取による金銭被害
- 6位:内部不正による情報漏えい
- 7位:予期せぬIT基盤の障害に伴う業務停止
- 8位:インターネット上のサービスへの不正ログイン
- 9位:不注意による情報漏えい等の被害
- 10位:脆弱性対策情報の公開に伴う悪用増加
中でも注目したいのは、3位の「テレワークとのニューノーマルの働き方を狙った攻撃」です。テレワークの普及によって、セキュリティ面における新たな脅威が生まれていることがわかります。
費用面での課題
テレワークには、費用面の課題も伴います。
具体的には、テレワーク導入のための個人端末の導入費用や従業員の自宅のインターネット回線費用、または業務で利用するテレワーク用システム・サービスの費用などの負担が発生します。
また、テレワークを導入するためには社内で様々なルール策定や体制づくりをしていく必要があり、時間や手間の面でも少なからずコストが発生します。
テレワークの課題を解決するための施策
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ここまでテレワークの課題について何点かご紹介しましたが、これらの課題を解決するためには具体的にどのような施策を行えば良いのでしょうか。
ここでは、特に注目しておきたい3つの施策についてご紹介します。
テレワークのためのインフラ整備
テレワークを導入するために、まずはテレワークに必要なインフラを整備が必要です。
具体的には、テレワーク作業に必要な作業端末や通信回線、コミュニケーションツールなどの用意が必要です。
これまでの働き方と全く違う仕組みを導入するためには、これらのシステムの使い方を従業員に教育する必要もあります。
テレワークを進める上でインフラ整備は外せない要素であり、様々な選択肢がある中で自社にあったものを選定することで、よりスムーズなテレワークを実施することができます。
テレワーク実態にあった労務管理
労務管理においても、テレワークに適した仕組みに移行する必要があります。
近年ではテレワークに便利な労務管理システムが充実しており、多くの企業で導入が進められています。
自宅だと公私の切り分けがしにくいがゆえに起きる「残業」や「サボり」というテレワークならではの労務面での問題がありますが、テレワークに最適化したシステムを利用することでログからマネジメントするなどの対応ができるようになります。
また、これまで同じオフィスで仕事していたからこそ見えていた取り組み姿勢などが見えづらくなるため、人事評価のルールもテレワークに合わせた定量的な評価項目へと見直してみると良いでしょう。
セキュリティ対策の充実
テレワークの導入にあわせて、セキュリティ対策も十分に行う必要があります。
テレワークでは常時リモート接続を行うことがメインとなるため、そこで懸念される通信傍受などのセキュリティリスクを防ぐ必要があります。
テレワークに合わせて、セキュリティ対策ソフト・サービスを会社PCと従業員用PCの両方に導入することや、会社で事前に申請されていないクラウドサービスを従業員の判断で使わせないなど、セキュリティを保つためのシステムやルールの準備を進める必要があります。
テレワークの課題を解決する必須システム
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テレワークの課題を解決するために、近年では様々なシステムが提供されています。
ここでは、その中でも特に知っておきたい3つのシステムについてご紹介します。
ビジネスチャット
テレワークのコミュニケーションに関する課題を解決するために、チャットツールの導入は必要不可欠です。
テレワークにおいて多くの企業で利用されており、パソコン環境だけではなく、スマートフォンでもコミュニケーションがスムーズにできるのが大きな特徴です。
チャットツールを導入することで、素早いコミュニケーション、情報伝達を行うことができるだけでなく、業務内容を明文化することができ、認識に齟齬のないスムーズな業務進行を実現できます。
労務管理ツール
テレワークの導入に合わせて、労務管理ツールを導入することもおすすめします。
労務管理ツールを使うことで、従業員一人ひとりの人事評価やスキル目標管理、あるいは福利厚生や勤怠管理の機能などを一元管理することができます。
管理ツールはクラウドで利用できるサービスも多く、外出先でもスマホやタブレットを用いて気軽に利用できます。
リモートデスクトップサービス
リモートデスクトップサービスの活用もテレワークの導入に欠かせません。
リモートデスクトップサービスを使うことで、自宅や外出先などから社内のPCにアクセスし、遠隔操作をすることができます。
これにより社内ネットワークに穴を開けることなく、社内PCからしか操作できない作業などをテレワーク環境で進めることができます。
まとめ
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今回は、テレワークにおける課題とその対応策についてご紹介しました。
新型コロナウイルスの流行により、テレワークの導入を進めている企業やこれからテレワークの導入を検討している企業は年々増加しています。
現状として社内でどのような課題があるのか、それに対してどのように解決できるのかよく検討しスムーズなテレワークの導入を行うようにしましょう。
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