
- VDIとは何なのか
- VDIの提供方式にはどのようなものがあるのか
- VDIを導入することのメリットやデメリットは
今回のテーマはVDIです。コロナ禍でリモートワークの導入が積極的に進められていますが、それと合わせてVDIにも注目が集まっています。
今回の記事ではVDIの概要について紹介するとともにVDIの様々な提供方式、またVDIを導入することのメリットやデメリットについてご紹介していきます。
VDIを基礎から解説
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まずは、VDIの基礎についてご紹介します。
- VDIの理解に欠かせない「シンクライアント」とは
- デスクトップを「仮想化する」とは
- VDIとは
以下、解説します。
VDIの理解に欠かせない「シンクライアント」とは
シンクライアント(thin(薄い・厚みのない)-client)とは、システムの処理やデータの保存などをサーバー側に一任する仕組みのことをいいます。
そのためリモートワークなどの環境において、紛失や盗難によるデータ漏えいなどのリスクを抑えることができます。
VDIを導入することは、シンクライアント環境の実現につながります。
デスクトップを「仮想化する」とは
デスクトップの仮想化とは、サーバーの上に設置してある仮想のデスクトップ環境をクライアント端末から遠隔で操作できるようにする方法のことを言います。
デスクトップを仮想化することで、リモートワークの環境でも社内の端末に安全に接続し業務を行うことができます。
VDIとは
VDI(Virtual Desktop Infrastructure)とは、シンクライアントを実現させるための方法の1つです。
仮想化されたデスクトップはクライアント端末上では処理を行わず、サーバー上でシステム処理を行うことが特徴です。
デスクトップを仮想化することによって、サーバーのシステムリソースを効率的に活用することができます。
VDIの提供方式
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VDIの提供方式には、大きく分けて以下の4つの方式があります。
- VDI方式
- SBC方式
- HDI方式
- DaaS方式
それぞれの方式は大きく特徴やメリットが異なり、VDIを導入する際には社内業務に応じて適切な方式を選ぶことが大切になります。
ここでは、それぞれの方式について詳しくご紹介します。
VDI方式
VDIの提供方式の1つ目は、VDI(Virtual Desktop Infrastracture)方式です。
VDI方式は、1つのサーバーにクライアントOSを複数インストールした上で、外部の端末を使って遠隔で操作をする方式です。
VDI方式では、一つのデバイスに対して一つの仮想OSを導入することが基本となります。
なおWindowsOSにVDIを使用する場合は、VDIに接続するクライアント端末それぞれにVDA(Virtual Desktop Access)ライセンスを契約する必要があります。
SBC方式
VDIの提供方式の2つ目は、SBC方式です。
SBC方式(Server Based Computing)方式とは、アクセス先となるサーバーでOSやアプリケーションをインストールしておき、複数の利用者が共有する方式です。
クライアントPCとホストPCの間でリモートデスクトップ接続を行い、画面の共有のみを行うことが特徴です。
SBC方式を利用することで、メモリやストレージCPUなどといったサーバーの物理的なリソースの利用効率を高め、コストの削減が期待できます。
HDI方式
VDIの提供方式の3つ目は、HDI方式です。
HDI(Hosted Desktop Infrastructure)方式は、サーバーとクライアントPCを1:1で操作するタイプの方式となります。
複数ユーザーで共有することがないため、個人が使用できるリソースが大きいことが特徴です。
高いパフォーマンスで遠隔操作ができるので、高度なコンピューター処理などの業務に適しています。
DaaS方式
VDIの提供方式の4つ目は、DaaS方式です。
DaaS(Desktop as a Service)方式とは、インターネット上で利用することのできるVDIです。
DaaS方式を利用することで、外部のサービス提供事業者のサーバー上でVDIを利用することができるので、自社でサーバーを導入する必要がなくなり、導入コストの削減につながります。
スモールスタートでVDIを導入したい場合におすすめの方式となります。
VDIの提供方式を比較
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複数あるVDIの提供方式から社内に採用するものはどのような基準で選べばよいのでしょうか。
VDIの提供方式を比較して導入する上で確認しておきたい点は以下の3つです。
- 性能
- 導入コスト
- ランニングコスト
ここでは、想定ユーザー数と利用条件を揃えた上で、先に挙げた4種類のVDI提供方式について比較してご紹介します。
性能
VDIの提供方式を比較して導入する上で確認しておきたい点の1つ目は、性能です。
性能の観点からVDIの方式を比較すると、スペックが良いものから以下のような順番になります。
- HDI方式
- VDI方式
- DaaS方式
- SBC方式
一番性能が高いのは、HDI方式です。HDI方式は一人当たり1台のサーバーをめいっぱい使うことができるので、快適な動作速度で重い処理をすることが可能です。
導入コスト
VDIの提供方式を比較して導入する上で確認しておきたい点の2つ目は、導入コストです。
導入にかかるコストの観点からVDIの方式を比較すると、おすすめは以下のような順番になります。
- DaaS方式
- HDI方式
- SBC方式
- VDI方式
最もコストパフォーマンスに優れているのがDaaS方式で、自前でサーバーなどの設備を用意する必要がないので、導入費用を安く抑えることができます。
ランニングコスト
VDIの提供方式を比較して導入する上で確認しておきたい点の3つ目は、ランニングコストです。
ランニングコストの観点からVDIを比較すると、おすすめは以下のような順番になります。
- DaaS方式
- HDI方式
- SBC方式
- VDI方式
導入コストと同様ランニングコストに関して、DaaSが方式最も優れていると言えるでしょう。
DaaS方式では、業務に利用するための必要十分なちょうど良いスペックの環境を用意することが可能です。
利用ユーザー数の増減にもその都度柔軟に対応することができるので、リスクのある初期投資を抑え、経済的に運用することができます。
VDIを導入するメリット
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VDIの導入には、さまざまなメリットがあります。
ここでは、その中でも特に代表的な以下の3つのメリットについてご紹介します。
- リモートワークに対応
- セキュリティ対策に有効かつ管理コストの削減可能
- 災害時の事業継続プランに有効
それでは、以下解説していきます。
リモートワークに対応
VDIを導入するメリットの1つ目は、リモートワークに対応できることです。
VDIがあると、自宅にいながらインターネット経由で社内のPCにアクセスすることができるため、オフィスに居る時と同じ作業環境で業務を進められます。
そのため、安全なリモートワークを推進することが可能です。
セキュリティ対策に有効かつ管理コストの削減可能
VDIを導入するメリットの2つ目は、セキュリティ対策に有効かつ管理コストの削減可能なことです。
VDIを導入することは、セキュリティ対策として非常に有効です。
VDIを使うことで、外出先にいながらも社内のデータをダウンロードすることなく閲覧・操作することができるため、情報漏えいやウイルス感染などのリスクを抑えることができます。
ただし仮想デスクトップ環境であってもマルウェアに感染してしまうリスクがあるため、コピー&ペーストによってローカルのハードディスクやUSBメモリにデータを保存させない設定を行うなどの対策を行う必要があります。
災害時の事業継続プランに有効
VDIを導入するメリットの3つ目は、災害時の事業継続プランに有効なことです。
VDIを導入することで災害時に事業継続ができる可能性が広がります。
新型コロナウイルスの流行によって、突然リモートワークをしなければならなくなり、業務を停止しなければいけない業界も多く出てきました。
しかし、リモートワークやVDIの導入を既に行っていた企業は、これまで通り業務を停止することなく継続をすることができました。
今後も日本では、台風や地震など様々な自然災害のリスクがあるため、あらかじめVDIを導入しておくことで、それらの災害に対策することができます。
VDIを導入した際に想定されるデメリット
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VDIの導入にはメリットだけでなくいくつかのデメリットも伴います。
ここでは、VDIのデメリットとして考えられるものとして代表的な3つの要素について詳しくご紹介します。
- ネットワーク障害に弱い
- 障害が起きた際の影響が大きい
- 費用負担の増大
それでは、一つずつ解説をします。
ネットワーク障害に弱い
VDIを導入した際に想定されるデメリットの1つ目は、ネットワーク障害に弱いことです。
VDIはネットワークを頼りに行う仕組みです。
ネットワークに障害が発生してしまった場合、リモートワーク環境ではVDIを利用できなくなってしまうため正常に業務を行えなくなってしまう可能性があります。
障害が起きた際の影響が大きい
VDIを導入した際に想定されるデメリットの2つ目は、障害が起きた際の影響が大きいことです。
VDIに障害が発生した場合、リモートワークで作業している従業員は作業を正常に進められなくなってしまうため、業務を停止しなければならなくなる可能性があります。
これにより業務の進行に遅れが生じることやクライアントとの取引に支障が出てしまう可能性があります。
費用負担の増大
VDIを導入した際に想定されるデメリットの3つ目は、費用負担の増大です。
VDIを導入することによって、ユーザー人数分の仮想環境を用意する必要がある場合、サーバーの容量を大きく消費してしまい、それに伴い費用がかさんでしまうことがあります。
しかし、VDIを導入する事でデスクトップ環境を一元管理できることやクライアント端末ごとのセキュリティ対策が必要なくなること、またテレワークの促進による移動時間や残業時間の削減ができることなど様々なメリットもあります。
そのための人件費や交通費、残業代の支払いなどの削減可能なため、VDIの導入による費用負担の増加だけでは、コスト課題を語ることはできません。
VDIを導入する際には長期的に試験運用を行い、導入するかどうかを慎重に判断することが大切です。
まとめ
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今回は、VDIについて基礎からご紹介しました。
VDIには様々な提供方式があることやVDIを導入することのメリットやデメリットについてご理解いただけたのではないでしょうか。
今回の記事を参考に、リモートワークの導入を合わせてVDIの導入を是非検討してみましょう。
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