2021.10.12

VPNの接続が遅い原因と改善策を紹介

  • VPNの接続が遅くて悩んでいる
  • VPNの接続が遅い原因を知りたい
  • VPNの接続が遅い時の改善策を把握したい

VPN(Virtual Private Network)とは、インターネット上に仮想的なプライベートネットワークを設けることで、ある特定のユーザーしかアクセスできない仕組みのことです。


これにより、セキュリティを確保した上でインターネットを利用することが可能となります。


そこでよく使われている方法がVPNです。VPNでは公衆回線を用いるため、低コストで手軽に始められます。


しかし、セキュリティが確保されても、接続が遅ければユーザーにはストレスになります。


本記事では、VPNの接続が遅い原因とその改善策を紹介します。

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VPNの接続が遅い6つの原因

通常のインターネットや専用線と比べて、VPNの接続が遅くなることは避けられません。

これは、VPNを利用する時には送受信先の端末を接続する時に、一度VPNサーバーを経由する必要があるからです。

その他、VPNの接続が遅くなる6つの原因を、以下の順に紹介します。

  • VPNサーバーまでの距離
  • VPNサーバーに高い負荷
  • ISP側に問題
  • ファイアウォール
  • MTUの未調整
  • 表示するページ自体が重い

VPNサーバーまでの距離

VPNの接続が遅い原因の1つ目は、VPNサーバーまでの距離が遠いことです。

VPNは、開放されたインターネット回線網を用いてVPNサーバーと接続する必要があります。そのため、使用する回線が遅いとVPNの接続も遅くなります。

使用する回線が遅くなる代表的な原因は、VPNサーバーとの距離が遠いことです。利用する端末とVPNサーバーとの距離が遠いほど、接続が遅くなります。

VPNサーバーに高い負荷

VPNの接続が遅い原因の2つ目は、VPNサーバーに高い負荷がかかっていることです。

VPNでは、セキュリティ対策のため情報に複雑な暗号化を行います。これにより、通信データの盗聴や改ざんを防止できます。

しかし、その分サーバーに大きな負荷がかかります。VPNのサービス提供者側でも、大きな負荷に対応できるようサーバーのスペックを選定しています。

ただ、多くの人が同時に同じVPNを利用すると、負荷がそのサーバーに集中します。それにより、通信速度が低下します。

また、セキュリティ対策を強化すべく暗号化レベルを高めると、その分暗号化に必要な処理が増えます。それにより、通信速度が遅くなります。

ISP側に問題

VPNの接続が遅い原因の3つ目は、ISP側に問題があることです。

ISP(インターネットサービスプロバイダー)とは、インターネットの接続業者のことです。端末をインターネットに接続するためには必要な存在です。

しかし、VPNの接続が遅い場合ISP側に原因があることも少なくありません。

例えば、ISP側による速度制限がある場合、それによってVPNの速度が制限される可能性があります。

また、ISP側でメンテナンスやトラブルが発生していることも考えられます。

自宅以外からアクセスして通信速度を確かめてみることで、ISP側に原因がないか確認すると良いでしょう。

ファイアウォール

VPNの接続が遅い原因の4つ目は、ファイアウォールです。

ファイアウォールとは、インターネット上で不正なアクセスであると判断した場合、即座に遮断するシステムのことです。

ファイアウォール自体は、端末を不正アクセスから守るために必要なシステムです。

しかし、VPN通信をする場合、通信パケットのスキャンとフィルタリングを行います。そのため、ファイアウォールはVPN接続が遅くなる原因になり得ます。

ファイアウォールに限らず、ウイルス対策ソフトによりセキュリティを強化することは大切なことです。

ただ、それによりVPN接続が遅くなっている場合は、対応が必要です。

MTUの未調整

VPNの接続が遅い原因の5つ目は、MTUの未調整です。

MTU (Maximum Transmission Unit)とは、1回の通信において転送が可能な最大のデータグラムサイズのことです。

VPNと端末とでMTU が合っていない場合、通信速度が低下します。端末側ではMTUの調整ができませんが、VPN側ではMTUの調整が可能です。

表示するページ自体が重い

VPNの接続が遅い原因の6つ目は、表示するページ自体が重いことです。

表示するページ自体が重ければ、通信量が増えて通信速度が遅くなります。そのため、VPNの接続も遅くなります。

表示するページの重さは、画像データの重さやデータベースの利用方法など、様々な要素から決まってきます。

また、表示するページにアクセスが集中した場合、アクセスしたサーバーに負荷がかかり通信速度が遅くなります。

この場合、接続が遅いと感じる理由がVPNではなく表示するページにあります。

そのため、他のサイトにアクセスして表示速度を調べることや、速度測定を実際に計測することがおすすめです。

VPNの接続が遅い時の10の改善策

ここでは、VPNの接続が遅い時の10の改善策を、以下の順に紹介します。

  • 端末の再起動
  • サーバーの切り替え
  • VPNのポートやプロトコルの変更
  • 有線接続への切り替え
  • 端末の切り替え
  • モデムとルーターの再起動
  • セキュリティソフトウェアを無効に
  • ISPに問合せ
  • 適切なVPNを使用
  • MTUの調整

端末の再起動

VPNの接続が遅い時の10の改善策、1つ目は端末の再起動です。

例えば、リソースを大量に起動させていた場合、もしくはメモリ不足の場合、一時的に端末の処理能力が低くなります。その場合、VPNの接続にも影響が出ます。

しかし、それらの問題は端末の再起動により解決できる可能性があります。

端末の処理能力が低下していたためVPNの接続が遅くなっていた場合、端末の再起動で処理能力を回復させれば、VPNの接続も速くなることでしょう。

サーバーの切り替え

VPNの接続が遅い時の10の改善策、2つ目はサーバーの切り替えです。

サーバーが原因でVPNの接続が遅い場合は、その原因は2つ考えられます。

1つ目は、現在地から遠いサーバーを使うほど通信速度が落ちることです。もし現在利用しているサーバーよりも近くにサーバーがあれば、それに切り替えましょう。

もう一つは、利用者が多く接続負荷が大きくなっているといった理由で、サーバーの処理速度が落ちることです。その場合、接続負荷があまりかかっていないサーバーを探して、それに切り替えましょう。

VPNのポートやプロトコルの変更

VPNの接続が遅い時の10の改善策、3つ目はVPNのポートやプロトコルの変更です。

VPNソフトウェアは、サーバーに接続するため特定のポート番号を使用しています。また、TCPやUDPといったプロトコルも利用されています。

ここで、ネットワーク上で特定のポートやプロトコルの速度が制限されている場合があります。また、そうでなくてもプロトコルごとに速さが異なってきます。

そのため、VPNのポートやプロトコルの変更によって、VPNの接続が速くなることもあり得るのです。

有線接続への切り替え

VPNの接続が遅い時の10の改善策、4つ目は有線接続への切り替えです。

一般に、無線接続よりも有線接続の方が通信環境が安定していて、通信速度が速い傾向があります。

特に、複数の端末間で無線接続している場合は、余計に通信速度が遅くなりがちです。

そのため、端末を持ち運ぶ必要性がない場合は、有線接続を使用することをおすすめします。通信速度を考えると、VPNには有線接続の方が適しています。

端末の切り替え

VPNの接続が遅い時の10の改善策、5つ目は端末の切り替えです。

特に、古い端末を利用している場合に、この方法が有効な可能性があります。なぜなら、VPNでは強力な暗号化を行っているため、多くのリソースが必要となるからです。

そのため、古くてスペックが低い端末ではリソースが足りず、VPNの通信速度が遅くなることも想定されます。

試しに新しくてスペックの高い端末でVPNに接続してみましょう。それでVPNの通信速度が速い場合は、端末のスペックが問題だったと推察されます。

モデムとルーターの再起動

VPNの接続が遅い時の10の改善策、6つ目はモデムとルーターの再起動です。

モデムとルーターは、時間の経過とともに通信速度が遅くなるものです。

これは、主にメモリーの漏えいが原因ですが、他にも長時間電源を入れていることが原因でモデムとルーターが何らかの異常を起こしている可能性があります。

その場合、モデムやルーターを再起動してリセットするだけで、通信速度が回復することもあります。

モデムとルーターが最適な速度だと、VPNも最適な速度となります。そのため、結果的にVPNの速度が速くなる可能性があるのです。

セキュリティソフトウェアを無効に

VPNの接続が遅い時の10の改善策、7つ目はセキュリティソフトウェアを無効にすることです。

これは長期的対策ではないものの、問題特定に有効な手段の一つです。

セキュリティソフトウェアであるウイルス対策ソフトやファイアウォールは、発信されたパケットをスキャンしてフィルタリングします。

そのため、セキュリティソフトウェアがVPNの通信を遅延させている場合があるのです。

セキュリティソフトウェアがVPNの接続が遅い原因である場合、セキュリティソフトウェアを無効にすれば通信速度が速くなるはずです。

その場合、VPNの通信に影響を与えないセキュリティソフトウェアの導入などを検討しましょう。

ISPに問合せ

VPNの接続が遅い時の10の改善策、8つ目はISPに問合せすることです。

考えつく限りの方法を試してみても、VPNの接続が遅いままであれば、ISP側に通信制限などの問題がある可能性があります。

その時は自分では解決できないので、ISPに問い合わせましょう。

ISPに問題があるか見極める方法は、普段利用しているISP以外の回線でVPNを使ってみることです。

例えば、カフェや近所の家でVPNを使うと通信速度が大幅に速くなったとしたら、ISPの回線に何か問題がある可能性が高いと判断できます。

適切なVPNを使用

VPNの接続が遅い時の10の改善策、9つ目は適切なVPNを使用することです。

VPNサービスには様々な種類があり、それぞれ通信速度は大きく異なります。

もちろん、VPNを選ぶ基準は通信速度だけではありません。しかし、通信速度を重視したいのであれば、通信速度の早さに定評のあるVPNを選ぶよう心がけましょう。

また、基本的には無料VPNより有料VPNを選ぶ方が確実です。多くの場合、無料VPNは有料VPNと比べて通信速度やセキュリティの面で劣っていることが多いからです。

さらに、サーバー地点数が多いVPNもおすすめです。サーバー地点数が多いと、サーバーの選択肢が多いため、より現在地に近いサーバーを選ぶことができます。

MTUの調整

VPNの接続が遅い時の10の改善策、10つ目はMTUの調整です。

端末側ではMTUの調整ができませんが、VPN側ではMTUの調整が可能です。

そのため、VPN側のMTUを調整して、現在利用している端末のMTUと合わせることで、VPNの接続が早くなる可能性があります。

この時、注意すべきポイントが2つあります。

1つは、現在利用しているネットワークに最適なMTUを調べて、それに切り替えることです。

もう1つは、MTUを変更する場合、別のシステムから接続する時には元に戻す必要があることです。

もしVPNのMTUを調整していない場合は、試してください。

まとめ

本記事では、VPNの接続が遅い原因とその改善策を紹介しました。

VPNは、インターネット回線をセキュリティを確保して利用できます。しかし、セキュリティを強化したことで、接続が遅くなるとユーザーにはストレスになりますし、生産性も低下します。

VPNの接続が遅い原因と、その改善策は様々です。もしも利用しているVPNが遅いと感じた場合、本記事を参考にして通信速度の改善に取り組んでみてください。

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