NTTコムウェア アスリートインタビュー2020
ビーチバレーボール
長谷川暁子
2020年、コロナ禍でスケジュールが変わり大きく制限されたスポーツ選手の活動。
「アスリートとして自分ができることを見つめ直した貴重な時間になった」というこの期間について話を聞いた。
text by 熊崎敬/photo by 竹見脩吾&市川亮
コロナ禍の寂しさで確認した、アスリートも世の中に必要だということ
感染症の拡大によって、だれもが当たり前の日常を奪われた。
ビーチバレー選手である長谷川暁子も、もちろん例外ではない。
ツアーがなくなり、練習場は閉鎖され、緊急事態宣言下ではボールに触れることもままならなくなった。
「私は競技歴が長く、小学生のころからバレーをやっていますが、こんなにプレーから遠ざかったことは初めてです。たまにオフができると『よーし、明日はゆっくりするぞ!』なんて思うのですが、今回は『今日も休み、明日も休み。なにしようか……』。そんな日々はいままでになかったですね」
先が見えない日々の中で、落ち込みかけたときもある。だが、そんなコロナ禍で長谷川は心に決めた。
できることは、なんでもやってみよう――。
例えば、自分がやっている日々のトレーニングが、ステイホーム中の人たちのちょっとした助けになればという思いからストレッチ動画※をつくってみた。
もちろん競技についても、いままでにないくらい深く考えた。そうすると、いくらでもやるべきことが見えてきた。
「パートナーのあず(二見梓選手)とは当然会って練習することはできないのですが、それでも毎日のようにオンラインを通じて話をしました。過去のゲームを一緒に見たり、技術のことや練習内容、再開後の方向性など、あらゆることを。練習自体はいつものようにはできないので、筋量が少し落ちましたが、それでもできることはやったという自負はあります」
医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーが脚光を浴びる中で、アスリートとしての存在意義についても考えたという。
「コロナ以前から思うところがあったのですが、極端にいえば、アスリートはなくてもいい職業かもしれない。だからこそ私は、スポーツに興味がない人を巻き込み、夢中にする影響力を発揮したいと思っていたわけです。でも、コロナ禍でプロ野球の開幕が延期になったことで気づいたことがありました。スポーツを含めたエンタメがなくなると、こんなに寂しいんだと」
このとき長谷川は、自分の仕事を強く肯定することができたという。
「スポーツがなくなると、いまの私のように寂しい思いをする人がいる。だからアスリートはいていいんだ。世の中に必要なものなんだ」と。
コロナによって、アスリートとしての自らの役目をより強く自覚した長谷川。彼女はいま、いつになくビーチバレーに貪欲に向き合っている。
「いつも応援してくださる方々にはほんとうに感謝していますし、とても力になっています。そんな皆さんに、私は結果を出すことで恩返しをしたい。そのために、これからもできることをすべてやる。その気持ちで競技に取り組んでいきます」
■まるで姉妹のような “あきあず”コンビ
ペアの変更が珍しくないビーチバレーで、2017年の結成以来、二人三脚を続けてきた“あきあず”ペアは姉妹のように仲がいい。自粛期間中は一緒に練習することができなかったが、「それでもオンラインで毎日、今後の活動のことやプレーの課題などについて話し合っていたので、会えないもどかしさはありませんでした」(長谷川)。コロナ禍で新たな道を歩み始めたふたり。「試行錯誤が続きますが、暁子さんとふたりで励まし合ってやっているので、距離がさらに縮まった気がします」(二見)。
第2回ビーチバレー品川オープン東京都大田区・大森東水辺スポーツ広場ビーチバレー場)1回戦
□結果 ●長谷川暁子&二見梓 14-21 18-21 ○坂本実優&沢目繭
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