2021.06.15

仮想デスクトップのメリットは?今さら聞けない基礎から解説

仮想デスクトップのメリットを確認したい。

デメリットを理解した上で仮想デスクトップの検討をしたい。

仮想デスクトップによって従業員が働きやすい環境を作りたい。


新型コロナウイルス感染症をきっかけに広がったテレワークの体制を作るために、仮想デスクトップの検討をする企業が増えました。


本記事では、仮想デスクトップの検討をする企業が知っておくべきメリット・デメリットについて詳しくまとめました。


それでは、参りましょう。

STC診断

仮想デスクトップのメリットを詳しく解説

まずは仮想デスクトップのメリットについて詳しく解説しています。

本記事では、以下の3つの視点に分けて解説をしていきます。

  • 会社としてのメリット
  • データや端末の持ち出しが必要なくなる
  • システム管理者のメリット
  • 従業員のメリット

それでは、まず会社のメリットから見ていきましょう。

会社としてのメリット

会社のメリットは大きく分けて以下の3つがあります。

  • 情報漏えいのリスクを減らせる
  • BCP対策として活用できる
  • 従業員の操作ログを管理できる

それぞれ解説していきます。

情報漏えいのリスクを減らせる

1つ目の会社のメリットは、情報漏えいのリスクを減らせるということです。

仮想デスクトップを利用することによって、従業員はデータを社外に持ち出す必要がなくなります。

仮想デスクトップでは従業員の端末に情報が残らないため、端末自体の紛失がもし起きたとしてもインシデント発生になりません。

情報漏えいの大きな原因となる、端末やUSBの紛失といったインシデントのリスクを発生原因から根本的になくすことができます。

BCP対策として活用できる

2つ目の会社のメリットは、 BCP 対策として活用できることです。

新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の発令以外にも、大型の地震の発生・台風等で交通麻痺などが往々な事態が発生します。

このような非常事態が起きたとしても、仮想デスクトップであれば、テレワーク状況でオフィスと同じように仕事をすることができ、事業を継続的に続けることができます。

従業員の操作ログを管理できる

3つ目の会社のメリットは、 従業員の操作ログを管理できることです。

仮想デスクトップのアプリケーションの中で操作をすることになるため、従業員が何を見てどういったものをダウンロードしたのか、全てのログデータが会社側に残ります。

万が一、何かインシデントが発生した場合に、どういった操作から発生をしたのかを遡ることができます。

その結果、インシデントに対する適切な対応をスピーディに行うことができるようになるとともに、同じことが起きないようにする再発防止策も検討がしやすくなります。

システム管理者のメリット

それでは次に、システム管理者のメリットについて見ていきましょう。

  • 管理者のメンテナンス工数の削減
  • バックアップの一元管理

それぞれを詳しく解説してきます。

管理者のメンテナンス工数の削減

1つ目のシステム管理者のメリットは、管理者のメンテナンス工数の削減です。

これまでは、従業員がそれぞれ持っていた端末のOSやソフトウェアの更新を監視しなければなりませんでした。そして、対応が漏れている従業員に個別に作業を指示するなどの細かい対応が求められていました。

仮想デスクトップにすることによって、このような煩雑な手間から解放されるようになります。

仮想デスクトップでは、システム管理者は従業員がアクセスをするメインサーバーを管理し、必要に応じてソフトウェア更新やセキュリティ対策の更新を実装します。

大きなバージョンアップがあったとしても、中央集権化した仮想デスクトップのソフトウェアを更新すれば、全社員に対して漏れなく新しい環境を提供することができます。

バックアップの一元管理

2つ目のシステム管理者のメリットは、バックアップの一元管理です。

これまでは様々な情報が従業員の端末ローカルに保存をされていました。

端末が突然壊れるなどのトラブルが起きた際に、場合によってはバックアップが保管できていないというリスクがありました。

仮想デスクトップを導入することによって、全てのバックアップを一元的に管理することができるようになります。

バックアップを全体で保存できる体制に変わることで、従業員の個別の対応に振り回されず、事業を継続していく上でのリスクを低減させることができます。

従業員のメリット

次に、従業員のメリットについてお話をしていきます。

  • 高い処理能力で作業ができる
  • 使い慣れた環境で作業ができる
  • 場所にとらわれない働き方を実現

それぞれ見ていきましょう。

高い処理能力で作業ができる

1つ目のメリットは、高い処理能力で作業ができることです。

これまでは従業員がそれぞれ持っているパソコンの処理能力に依存をして演算処理をしていました。

仮想デスクトップ環境では、中心となるサーバーの処理能力を活用して業務を推進することができます。

大量のデータを扱う業務やデザインの処理といった、高い処理能力を求められる業務において、仮想デスクトップサーバーの高い処理能力を活用することによって、今まで以上に円滑に業務を進めることができるようになります。

使い慣れた環境で作業ができる

2つ目のメリットは、使い慣れた環境で作業ができることです。

仮想デスクトップを導入した場合、普段から業務を全て仮想デスクトップ上で行うことになります。

自宅環境だからといって別の環境を使って作業するわけではないので、オフィスでやっていた業務の延長を自宅で行ったり、自宅で行なっていた作業の延長をサテライトオフィスで行うといったことが、シームレスに行うことができるになります。

場所が変わっても使い慣れた環境で作業をすることによって、効率的に業務を進めることができます。

場所にとらわれない働き方を実現

3つ目のメリットは、場所にとらわれない働き方を実現できることです。

仮想デスクトップの原理としては、インターネット回線があればどこからでもアクセスすることができます。

ただし、仮想デスクトップのソフトウェア次第で、指定のアプリケーションを入れたり、指定の端末以外からはアクセスができないように制限をかけることで、外部からのアクセスに対する信頼性を確保する仕組みも備わっています。

最近では多要素認証を活用して、本人の確認をより正確に行う仕組みが広がっています。

本人確認の確実性を高めセキュリティ面の充実を図りつつ、場所にとらわれない働き方を実現することができます。

部署ごとの仮想デスクトップ(VDI)の活用メリット

次に、仮想デスクトップを導入するメリットを部門ごとに分けてご紹介します。

人事・総務部門

テレワーク推進の仕組みづくりに取り組むことが多い人事・総務部門。仮想デスクトップを導入すれば、在宅勤務のスタッフや外回りが多い営業スタッフへ社内と同等のPC環境を提供できます。

テレワークなど新しい働き方の実現で、社員の良好なワークライフバランスの維持や、モチベーションアップ、定着率の向上にもつなげることができます。

営業部門

仮想デスクトップを導入すれば、営業スタッフが自宅からのアクセスだけではなく、外出中の空き時間などに、カフェなどでもメールや見積り作成などの作業を安全に行えるため、時間の有効活用につながります。

また、商談中にお客様に想定外の資料をお見せしたい場合などに、共有サーバーにアクセスすることですぐに資料を提示できます。

納期などを聞かれても業務システムにアクセスして商談中に確認・返答できるなど、お客様の満足度を高めることもできるでしょう。

経営層

仮想デスクトップの導入でコストはかかりますが、セキュアなテレワークを実現する現実的な方法と言えます。

営業スタッフの時間の有効活用で生産性が向上して売上げアップにつながったり、テレワークや在宅勤務などで社員のモチベーションアップや満足度向上にもつながります。

さらに、TCO削減や情報漏えいなどのセキュリティリスクも軽減できるなど、経営面でも様々なメリットをもたらせます。

情報システム部門

テレワークを推進していく場合、物理PCでは、目の届かない場所で利用されるためその端末管理やセキュリティ対策は大きな負担となります。

仮想デスクトップを導入すれば、クライアントPCにはデータが保存されず、サーバー側にデータが保存されるため、たとえ端末を紛失しても、情報漏えいすることはありません。

情報システム部門では端末管理やセキュリティ対策の負荷が大きく軽減するでしょう。

仮想デスクトップとシンクライアントのメリット

仮想デスクトップはシンクライアントの実装方式の1つです。

メリットとしては前述の通り、従業員が同じサーバーのアプリケーションを利用することでのメリットと、端末にデータを保存しないということで享受できるメリットがあります。

実装方式については、以下で詳しく解説をしていますので、気になる方は合わせて確認をしてみてください。

関連記事:VDIとは?シンクライアント各方式の仕組みを解説

仮想デスクトップのデメリット

最後に、仮想デスクトップのデメリットをチェックしていきます。

サーバー側のリソースへの投資が必要

仮想デスクトップの1つ目のデメリットは、環境整備に対する投資が必要だということです。

仮想デスクトップは、リモートデスクトップ等の他のテレワーク向けサービスと比べて初期構築が必要なため、導入のしやすさには劣ります。

セキュリティ強化など前述した多様なメリットを持つ反面、さらに配置するサーバーの処理能力次第で、従業員側の処理能力が左右されるため、一定の初期コストがかかります。

サーバー障害が全社の業務に影響が出る可能性がある

仮想デスクトップの2つ目のデメリットは、サーバー障害が全社の業務に影響が出る可能性があるということです。

中央集権的な設計になっているため、仮想デスクトップを運用しているサーバーに何かトラブルがあった場合、全社員の業務が止まってしまうリスクがあります。

その場合の影響範囲が大きいため、企業としては業績に大きな影響を及ぼす可能性もあります。

まとめ

本記事では、仮想デスクトップのメリットについて徹底的に解説をしました。

いつでも、どこからでも、オフィスと同等のPC環境を実現できる仮想デスクトップは、ニューノーマルにおけるテレワーク業務環境として、多くの企業に選ばれているといえるでしょう。

なお、弊社では自社のセキュリティ状況やテレワーク環境、コミュニケーション環境を簡単に把握できる「STC診断」をオンラインで無料公開しています。よろしければ、以下よりお試しください。

STC診断