2021.11.02

テレワークの導入により生じるコミュニケーション不足の改善方法とは?

テレワークを実施すると、オフィスで仕事をしていた時よりも組織内のコミュニケーションに問題を感じることはないでしょうか?実際にテレワーク時のコミュニケーションに不安や悩みを抱えている人が一定数いることが分かっています。

本記事では、今後ますます増えていくであろう「テレワークでのコミュニケーション問題」の改善策について解説します。テレワークの導入にともないコミュニケーションの問題に悩んでいる方、組織の労働環境を改善したい事業主の方はぜひ参考にしてみてください。

はじめに

なぜテレワーク時にコミュニケーションの問題が発生するのか。
そもそもテレワークで働く環境自体が、頻繁にコミュニケーションを取りにくい状態だからです。
会話の度にビデオ通話や電話などをしたとしても、普段の会話と違ってどうしてもコミュニケーション頻度が落ちてしまいます。これにより普段オフィスで一緒に働いている時より格段に「コミュニケーション不足」が発生するのです。
そして、このコミュニケーション不足が原因で様々な問題が発生します。

言うまでもありませんが、テレワークの有無にかかわらず、仕事をする上でコミュニケーションが不足すると、良いことは何もありません。
チームで作業している場合に、連携がうまく取れない、細かい情報が共有されないなど、コミュニケーション不足が常態化してしまうと、仕事の質が低下し、作業が遅延、従業員満足度の低下などを引き起こしてしまいます。
さらにテレワークの場合、コミュニケーション不足が発生するケースが非常に多いとされています。実際、テレワーク中に業務の話をするのは1日30分未満が6割を占めるという調査結果もあり、コミュニケーション不足は明らかです。(※1)
そこで、まずテレワークでコミュニケーション不足が発生する原因を理解し、次に改善方法を探してみましょう。

※1 サイボウズ『在宅勤務者3,000人に聞く「テレワークのコミュニケーション」調査』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000157.000027677.html

テレワーク時のコミュニケーション不足で発生する問題

テレワークにおいてコミュニケーション不足に陥る原因には様々なものがあります。
コミュニケーション不足によりどのような問題が発生しているのかを考え、原因と改善方法を考えていきましょう。

部署間での情報共有の不足

組織での仕事は、ほかの部署と協力するケースも少なくないでしょう。
オフィスにいて情報共有の不足を感じていなかったのであれば、何か用事があるときだけでなく、何気ない会話を通じるなどして、普段から情報共有をおこなっていたのではないでしょうか。
テレワークでは何か用事があるときにだけ、メッセージを送ったりオンライン会議のセッティングをしたりすることになります。何気ない会話をするためだけに、オンラインでやり取りをするようなことはほとんど無いでしょう。
テレワークでの情報共有不足を解消するためには、テレワークによってどのような情報が欠落しているのか洗い出してみましょう。

業務の話以外はできない雰囲気がある

雑談は相手を知りコミュニケーションを円滑にするための大切な手段です。
業務以外の話ができない雰囲気があると、気軽なやりとりを妨げてしまいます。
テレワークではメッセージやオンライン会議などが主なコミュニケーションの手段となります。
しかし、雑談をするといった雰囲気にならないことが多いのではないでしょうか。
些細な疑問でも質問をしてよい、意見をいえば聞いてもらえる、と思える心理的安全性を確保するためには、普段から何気ない会話を交わせる関係を築いておくことが重要です。
これには、オフィスにいてもテレワークでも同じように心理的安全性を構築する手段を考える必要があります。

悩みを打ち明けられる環境がない

悩みを打ち明けてよいと思える環境が無いと、不安や不満を抱え込んでしまい、モチベーションの低下や離職につながるかもしれません。
悩みは自分から発信がしにくいものですので、悩みを打ち明けられる場や周囲の受けとめる姿勢が問われます。
オフィスで仕事をする場合、相手の反応をうかがいながら密にコミュニケーションを取ることができますが、メッセージやオンライン会議では、相手の反応をうかがうことが疎かになりがちです。
テレワークで仕事をする場合は、悩みなどを聞く場を積極的に用意することを検討しましょう。

業務で関わりがない人の顔が見えない

オフィスにいる時は業務に直接関わりの無い人でも、その場にいることによって自然と会話が生まれるものです。
業務で関わらないからといって、お互いに理解を深める必要はないと放置してしまうと、組織の一体感を高めることはできないでしょう。
普段から、楽しみながら相互理解ができる機会を設けると、メンバー同士のつながりが生まれ、組織の一体感を高められるのではないでしょうか。

ここでは上記4つの代表的な問題をあげました。

テレワーク時のコミュニケーション問題については、厚生労働省が発行している「テレワークのリーフレット」でも触れられています。(※2)
安全衛生面についての「ルールの確認 (労務管理) 」の章で、テレワーク時の孤独や不安感を解消するために、オンライン会議を使って上司・部下・同僚とコミュニケーションを取るようにすすめています。

※1 厚生労働省「テレワークを有効に活用しましょう」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/how_to_telework.html

コミュニケーション不足によって発生する問題の改善方法

テレワーク時のコミュニケーション問題を改善するには、土台となる仕組み作りが大切です。
次の5つのポイントができているか確認してみましょう。

  1. オンラインツール環境を整える
  2. 目標の明確化、可視化をする
  3. 積極的に状況(業務・進捗・課題)を共有する
  4. 仕事以外の話をするための「時間」と「場所」を確保する
  5. オンラインミーティングの前のアイスブレイクを実施する

1. オンラインツール環境を整える

テレワーク導入時には、「ビデオ会議システム」「チャットツール」「タスク管理システム」が必須となります。
かならず“情報を共有すること”を意識して会社側で環境を整えるようにしましょう。

2. 目標の明確化、可視化をする

チームを組んでリモートでプロジェクトを進めていく場合、目標が明確になっていないと効率よく仕事ができません。
何を目標、目的として行動しているのか、ということを言語化しておきましょう。
文章だけでプロジェクトの意図を説明するのが難しい場合は、オンライン会議などでスライドや画像を使いながら目標を共有し、いつでも見られる状態にしておくことが大事です。

3. 積極的に状況(業務・進捗・課題)を共有する

オフィスで仕事をしている時も、仕事の状況や業務の進捗具合は確認していたのではないでしょうか。ただ、そのことをあまり意識せず、自然に行っていたケースも多かったのかもしれません。
テレワークで仕事をすると自然なコミュニケーションが取りにくいため、積極的に状況の共有をするようにしましょう。
先程述べたように、テレワーク時に仕事の話をするのは1日30分未満という方が6割を占めています。
仕事に影響を与えない範囲で、こまめに進捗確認の時間を設けたり、ちょっとした会話をチャットで送ったりするなど、積極的なコミュニケーションを心がけましょう。

4. 仕事以外の話をするための「時間」と「場所」を確保する

テレワークでは仕事の話をする時間も大事ですが、それ以上に大事なのが雑談です。
雑談こそコミュニケーションの潤滑油と言えます。
電通が日本のホワイトカラーワーカー1万人を対象に実施した調査(※3)では、職場で笑う機会がある従業員は、関係性や生産性が高まる傾向にあるそうです。
会議と雑談の大きな違いがこの「笑い」の部分といえます。一緒に笑う事で人は仲間になり、チームに一体感が生まれるものです。
テレワークには積極的に雑談をする時間を作りましょう。
また、筆者の所属するチームでは「雑談部屋」という専用のチャットルームを開設したり、1on1で雑談したり悩みを聞く時間をスケジュールに入れておくといった改善策を取り入れています。
雑談はコミュニケーションの温度をあげます。意識して積極的に取り入れていきましょう。

※3 電通「会社員1万人バイタリティ調査」
https://www.dentsu.co.jp/news/sp/release/2019/1202-009967.html

5. オンラインミーティングの前のアイスブレイクを実施する

「アイスブレイク」は、会議の緊張をほぐすことで、コミュニケーションを円滑にし、積極性を発揮できるようにする手法です。
オンラインでミーティングする場合は、数分程度でよいのでアイスブレイクを実施してみましょう。
どんな話をしてもよいですが、例えば、今日のお昼ごはんは何食べた?とか、今週の楽しい出来事など、仕事とか全く関係のない話をすることをおすすめします。
たった数分のアイスブレイクで驚くほど会議のコミュニケーションは改善されるでしょう。
こちらも積極的に取り入れることをおすすめします。

まとめ

ここまで、テレワーク時のコミュニケーション不足による問題を改善する方法について述べました。

簡単に全体をまとめると、

  • テレワークではオフィス勤務とは違ったコミュケーションへの配慮が必要
  • コミュニケーション不足を改善するには積極的な情報共有が効果的
  • 雑談やアイスブレイクを取り入れることで円滑なコミュニケーションが生まれやすくなる

ということが分かっていただけたのではないでしょうか。
コミュニケーション不足問題は、在宅勤務、テレワークによって始まったわけではありません。
これまで表面に見えていなかった問題が可視化されただけなのかもしれません。

テレワークではコミュニケーション不足に陥りやすいと考えられていますが、オンラインツールの使い方や相手への配慮を心がければ、オフィスにいるときよりも連絡などは取りやすいのではないでしょうか。
ちょっとした気遣いや工夫でコミュニケーション不足は改善できるので、ぜひ今日から取り入れてみましょう。