2022.01.13

テレワークを改革するICTツール!データからテレワークの課題を分析

新型コロナウイルスの感染拡大が普及を促したテレワーク。今回は、急ピッチの導入が進んだ一方で見つかった課題や、いまだに導入を阻む理由をデータから見つめ直してみます。そして、ICT(Information and Communication Technology)を利用したテレワークの課題解決策として、仮想デスクトップ(VDI)と仮想オフィス(バーチャルオフィスツール)について詳しく解説します。

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テレワークの導入で浮かび上がる3つの課題

2019年の働き方改革施行に合わせ、各省庁は普及に向けた課題をさまざまな角度から調査を行いました。平成30年に総務省が発表した情報通信白書の「テレワーク実施の課題」についての調査結果では、「会社のルールが整備されていない」「テレワークの環境が社会的に整備されていない」「上司が理解しない」「セキュリティ上の問題がある」といった課題をあげる人が多く、テレワークの導入には大きく「制度改革」「意識改革」「ICT改革」の3つが必要な取り組みであったことがわかります。(※1)

テレワーク実施の課題(複数回答、テレワーク実施希望者)※2018年

※1 総務省「平成30年版 情報通信白書|(2)テレワークによる働きやすい職場の実現」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd144320.html

ここで浮かび上がった課題は主に以下の3つです。

  • 制度改革
  • 意識改革
  • ICT改革

では当時の課題と、その後の動きをデータで見ていきましょう。

制度改革

テレワークを実現するとなれば、会社は就業規則の変更などを行う必要があります。それに伴い、労務管理システムの更新なども必要になるでしょう。こうしたハードルは、2019年の時点では企業規模が大きいほど高くなると考えられていました。しかし、2020年に出現した新型コロナウイルスの感染拡大と緊急事態宣言の下、体力のある大手企業において導入が進みました。(※2)

企業規模別(従業員数別)のテレワーク実施率 ※2020年

※2 パーソル総研 「第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」
https://japan.cnet.com/article/35164095/

意識改革

2018年の調査では20代の若者がテレワークを望む一方で、年齢層があがる管理職にとってテレワークはネガティブな印象が強かったようです。下記のテレワーク利用意向調査の結果でも、全体の62.2%が「利用したくない」との回答を示しています。(※3)

テレワークの利用意向(日本、年代別)※2018年

※3 総務省 「平成30年版 情報通信白書|(1)広がるテレワーク利用」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd144310.html

次に、テレワーク普及後の年代別の意識を見てみましょう。

テレワークの継続意向(年代別)※2020年

全体の62.2%が「利用したくない」と回答した2018年の調査とは異なり、2020年の調査では65%が「継続したい」「どちらかといえば継続したい」と回答しました。実際にテレワークを経験し、そのメリットを実感したようです。(※4)

テレワークの利点 ※2020年

※4 総務省 「個人向けアンケートで見るテレワークの実情」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd123420.html

ICT改革

テレワークに伴う課題・障壁を見てみましょう。

テレワーク実施の課題・障壁(上位)※2020年

職種・制度の問題が上位となりましたが、注目するべきは「会社に行かないと利用できない資料」「会社でしかできない手続き」「社員同士のコミュニケーション」「上司からの確認・指示を得にくい」が続いています。しかし、このような課題はICTツールによる解決が可能なものです。

総務省のタスクフォースでは「DX(デジタル・トランスフォーメーション)の徹底活用の遅れ」が提言されています。(※5)

※5 総務省 『コロナ下でのテレワークの課題とは-「日本型テレワーク」を目指して-』
https://www.soumu.go.jp/main_content/000750183.pdf

ICT改革を支援する仮想デスクトップ(VDI)のメリットとは

データから見つかった「会社に行かないと利用できない資料がある」「会社でしかできない手続きがある」という問題について、具体的な解決策を探っていきましょう。

クラウド型仮想デスクトップで会社と変わらない環境を実現

テレワークで最初に課題となるのがデバイスの問題です。社員の個人端末での業務は、ネット上でのデータの受け渡しによるウイルス感染、端末紛失による情報漏えいなどさまざまなリスクにさらされています。そこで、クラウド上の仮想デスクトップにアクセスしてPC作業を行うことによって、サーバ上のデータを自由に閲覧・利用できる一方、端末にはデータを残さないため情報漏えいリスクを最小限にとどめることができます。

仮想デスクトップで情報セキュリティを強化

仮想デスクトップで扱うデータはすべてサーバ側に保存されており、接続元のクライアントPCにデータは残りません。万が一、接続元のクライアントPCがウイルス感染したとしても、仮想デスクトップ自体には影響ありません。接続元のクライアント端末のウイルスを駆除することや、別のクライアント端末からのアクセスで引き続きセキュアに利用できます。

さらに、クラウド型仮想デスクトップであればサービス提供事業者が基本的なセキュリティ対策を実施するので、仮想デスクトップに対する利用者側でのセキュリティ維持作業も不要となります。(※6)

スマートデバイスからもアクセスが可能

仮想デスクトップであればPCはもちろん、スマートフォン、タブレットなどのスマートデバイスからでもPCの作業が可能となります。場所もデバイスも選ばない自由な働き方を実現します。

※6 s-WorkSquare「導入も運用も“しっかりサポート”で安心できる仮想デスクトップを!」
https://www.nttcom.co.jp/dscb/sworksquare/index.html

コミュニケーションの問題を解決するツールとは

次に不満の声か多かった「社員同士のコミュニケーション」「上司からの確認・指示を得にくい」という問題について解決策をご紹介します。

仮想オフィスで社内コミュニケーションの活性化を図る

オフィスで顔を合わせていれば、今は話しかけてはいけない状況なのか、それとも一息ついていて話しかけやすい状況なのか自然とわかります。テレワークにおいても、各メンバーの集中力を途切れさせずに気軽にコミュニケーションがはかれるツールとして仮想オフィス(バーチャルオフィスツール)が注目されています。

会議、雑談OK、集中モードなどメンバーの状況が把握できる

ブラウザ上の仮想オフィスにアバターが出社すれば現在勤務中、会議室に集まればミーティング開始、個室に入っているときは作業に集中しているときなど、メンバーの状況が簡単に把握でき、コミュニケーションの活性化に役立ちます。(※7)

スマートデバイスの活用で社内のコミュニケーションを活性

社内チャットなどはコミュニケーション活性の重要なツールです。しかし、自席のデスクトップPCからのみの利用となると、利用シーンが限られてしまうでしょう。

スマートデバイスで仮想デスクトップにアクセスすれば、セキュアな環境を保ちながら、いつでもどこでもコミュニケーションが取れるようになります。その結果、業務効率の改善にもつながるでしょう。

※7 NeWork 「リアルより話しやすいオンラインワークスペース」
https://nework.app/top

まとめ

テレワークを実現するためのポイントとなるのは、「制度・意識・ICTの改革」です。企業のトップの意向も踏まえて議論すべき全社的な課題となるため容易なハードルではありませんが、ICT改革については仮想デスクトップの導入が改革をスムーズに実現する方法のひとつとなるでしょう。

なお、NTTコムウェアでは自社のセキュリティ状況やテレワーク環境、コミュニケーション環境を簡単に把握できる「STC診断」をオンラインで無料公開しています。よろしければ、以下よりお試しください。

よくある質問

テレワークの導入で必要とされる改革とは

大きくわけて「制度」「意識」「ICT」の改革が必要です。就業規則の変更などの「制度改革」。会社でしかできない仕事があるという意識を変える「意識改革」。そしてテレワークが可能な環境を整える「ICT改革」がテレワークを成功させるために必要となります。

ICT改革を支援する仮想デスクトップのメリットとは

「会社と同じ作業環境を整える」「会社でしかできないという業務をなくす」という点において、とくに効果を発揮するのが仮想デスクトップ(VDI)の利用です。効率性だけではなくセキュリティの向上というメリットもあります。

テレワークにおけるコミュニケーションの問題と解決するツールとは

Web会議ツールはすでに導入が進んでいますが、それでも雑談のような気軽なコミュニケーションはとりづらいものです。仮想化したオフィスでアバターを使って交流できるコミュニケーション活性化のためのツールもありますので、上手に利用してコミュニケーションの活性化を目指しましょう。

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