2022.01.13

BCP対策としてのテレワーク。仮想デスクトップで万全の備えを。

これまでBCP対策といえば、業務環境の基盤となるシステムの安定性が重要視されてきました。しかし、2019年の台風15号による首都圏での交通障害、2020年に感染が拡大した新型コロナウイルス、さらには2021年10月に首都圏を襲った地震による電車の運航休止を経験し、「通勤することなくビジネスを継続する」という課題が浮き彫りになりました。その解決策として注目されている仮想デスクトップ(VDI)の有効性を紹介します。

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コロナや災害を経て浮かび上がったBCPの新たな課題

BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害や交通障害に直面した際に、事業の継続や早期の復旧を可能とするための事業計画を指します。とくに2011年の震災を経験し、あらゆる災害時でもいかに事業を復旧し継続するかは企業の存続のみならず、経済全体の損失を最小限にとどめるためにも重要視されてきました。

とくに近年では2019年10月に上陸した台風10号や、2020年1月から感染が拡大した新型コロナウイルスの影響など、企業のBCPへの取り組みが問われる事態が続きました。

とくに2020年は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府がテレワークの割合を7割まで高めるよう要請する事態となり、テレワークは大きく普及しました。(※1)

2021年10月時点では都内企業(従業員30人以上)のテレワーク実施率は65.0%にものぼり、テレワークは多くの企業で定着したといえるでしょう。(※2)

しかし、2021年10月7日に首都圏を襲った最大震度5強の地震により、8日午前中には電車の遅延が発生し、郊外の駅周辺はホームに入ることもできない通勤客であふれました。

すべての業務においてテレワークが可能ということはありませんが、少なくともテレワークを採り入れている企業であれば、不測の事態に直面してもすぐに業務を継続できる体制を整えておくことの重要性が再認識されることとなりました。

※1 読売新聞 『テレワーク、再び「7割」要請へ…西村氏「後戻りせず維持して」』
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20200802-OYT1T50242/

※2 東京都 「都内企業のテレワーク実施状況」
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/09/03/09.html

台風、地震などの災害や交通機関のトラブルでは駅前に長蛇の列ができることも。

出社することなくビジネスを継続できる環境が必要

ドコモグループでは、これまでテレワークや在宅勤務を推進していくために、仮想デスクトップ(VDI)などの「ITツール」と「社内ルール」の両面で整備を行ってきました。2019年、台風15号の当日も、いち早くマネージャーから各社員へチャットを通して、「安全を第一に考え、自宅や近隣のシェアオフィスなど適切な場所で業務を行うこと」という指示が入りました。それにより、交通機関が停止しても、通常の勤務開始時間には、各社員が自宅・シェアオフィスで勤務スタートすることができたのです。

2020年4月には新型コロナウイルスの拡大により緊急事態宣言が発令されました。この時点でNTTドコモのテレワーク(在宅勤務)実施率はすでに80%を達成しており、行動制限の影響を受けることはありませんでした。(※3)

※3 NTTドコモがテレワーク(在宅勤務)実施率80%を実現していた理由とは?
https://www.nttcom.co.jp/dscb/column/detail33/index.html

これまでのBCPは、ビジネスの基盤となる業務システムをストップさせないことを中心に考えられがちでした。しかし、今回のようにシステムに問題がなくても、各社員が出社しなければ業務を継続することはできません。そのため、「社員が安全な場所でビジネスを継続できる環境づくり」が求められているのです。

災害時でも出社しようとするのは日本人の勤勉性の表れといえるでしょう。しかし、数時間もかけて出社して、疲れ果てた社員は、通常どおりの生産性で業務をこなすことが難しい状態です。そのため、在宅や近隣のシェアオフィスなどで業務を行うことができる環境づくりが必要といえます。

BCP体制強化に役立つ仮想デスクトップ(VDI)

在宅勤務など、社員が状況に応じて安全な場所を選んで作業できるツールとして、さまざまなコミュニケーションツールや情報共有ツールがありますが、上記でご紹介したようにドコモグループで主に活用しているのは「仮想デスクトップ(VDI)」です。

仮想デスクトップとは、データセンターのサーバーに仮想的なデスクトップ環境を構築して、手元のデバイスからアクセスする仕組みのことです。

このため、サーバーにアクセスできるデバイスとネットワーク環境さえあれば、場所を問わずにアクセスが可能で、オフィスと同じようにさまざまな業務システムを利用することができ、自宅でも通常通りオフィス業務を行うことができます。

私物のスマートフォンやノートパソコンからでも業務を行うことができるため、突発的に出社が困難な状況となって、業務用のPCが手元になくても業務ができるため、BCP対策として有効活用できるでしょう。

平常時の取り組みから考えるテレワーク

もちろん仮想デスクトップだけで、あらゆるオフィス業務をカバーすることは不可能です。しかし、チャットツールやWeb会議などのコミュニケーションツールを併用しながら平常時から活用していくことで、有事の際でも柔軟にテレワークを実施し業務継続を実現できるでしょう。

日本は自然災害大国ですから、地震、台風、大雨などで業務が停止するリスクがあります。たとえ被災してもビジネスの停滞を最小限に抑えられるよう、BCPを整備することが重要です。その一環として、時間や場所、業務デバイスを選ばずに業務を行える仮想デスクトップやコミュニケーションツールの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

なお、NTTシステムズでは自社のセキュリティ状況やテレワーク環境、コミュニケーション環境を簡単に把握できる「STC診断」をオンラインで無料公開しています。よろしければ、以下よりお試しください。

よくある質問

コロナや災害を経て浮かび上がったBCPの新たな課題とは

基幹システムの安定性だけではなく、従業員が通勤できなくても業務を止めない環境が必要であることがわかりました。具体的にはいつでもテレワークに切り替えることのできる制度と、自宅でも業務を継続できるインフラの整備です。

出社することなくビジネスを継続できる環境に必要なツールは

会社の業務を継続できるPC環境、社内外の打ち合わせをWeb上で行うためのWeb会議ツール、業務に関する報告をチームで共有するためのビジネスチャットツールが必要です。これらは非常時だけ利用するのではなく、普段から業務に採り入れておく必要があります。

仮想デスクトップ(VDI)がなぜBCP対策の強化に役立つのか

業務に必要な環境を自宅に再構築しなくても会社と変わらない環境で作業を行える仮想デスクトップ(VDI)はBCP対策の有効な選択肢です。業務に必要な資料を持ち帰る必要がなく、また基幹業務システムにセキュアにアクセスすることが可能となります。

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