「声がけのポスター」 コミュニケーションのはじまりはあいさつからと総務部CSR担当 山田課長
テレワークでの勤務が主体となったことで、コミュニケーションの取りづらさが帰属意識の低下につながっています。チームやCSR部門ではエンゲージメント向上のため様々な工夫を行っています。その一環として開催した「チーム対抗謎解きオンラインイベント」は大盛況となりました。総務部CSR担当課長・山田晶氏に話を伺います。
テレワーク下でのコミュニケーション不足
テレワーク主体になったことで、上司や同僚とのコミュニケーションが課題になりました。総務部CSR担当の視点からはどのように感じられましたか?
CSRはいわゆる総務的な業務だけではなく、社内外の広報の役割もあります。 昨年度から一斉にテレワークとなり、リアルな対面の直接コミュニケーションが減り、立ち話や雑談の中で共有・共感されていたことが、あえて発信・受信を心掛けないと伝わらないと課題感がありました。 私自身もテレワークによりコミュニケーションの変化を感じておりました。 今まではちょっとした世間話や雑談の中で、連帯感や価値観を感じ、相談や依頼をする際のポイント、タイミングを見計らい共有してきましたが、テレワークでは相手の状況がわからない中で、依頼や共有を図る難しさ。特に、日本語って、主語が曖昧になりがちですよね。 業務を進めながら確認をしていたことがテレワークにより、指示と成果で判断に変わり、コミュニケーションが難しいなとしばしば感じていました。
まず大変だったのは環境面です。自宅で業務ができるように仮想デスクトップや業務用電話などリモートで働ける環境は元々あったものの、それまでのテレワークは出張時や家庭の事情など特別なケースでのみ使用されていました。社員の80%が常時リモートで働く環境を想定していなかったので、仮想デスクトップがなかなか繋がらなくなったり、動作が遅くなったりしました。
これはCSRとして、社内のコミュニケーションのキッカケ作りが必要だと感じてましたね。
情報発信と場の提供でコミュニケーションを活性化
コミュニケーション活性化やエンゲージメント向上のために、CSR担当としてどんなことを行いましたか?
チームでの一体感や安心感が実感しにくくなっていることから、皆にコミュニケーションを取ろうねと声がけしている関係から、方針として「職場での情報発信の実践促進」と「機会・場の提供によるコミュニケーション促進」の2軸を掲げました。
また、CSRとしては社内サイトで共感を目的とした「テレワークあるある」のオリジナルマンガを制作しました。ちょっと面白おかしく読んでもらえるような、簡単な1ページくらいのものです。現実にあるだろうなというストーリーをマンガで伝えることで、それが世間話や雑談のネタになってくれたらいいなという狙いもあります。
OJTはなかなか難しいところです。こればかりは対面が一番いいのかなと感じています。とくに新入社員はとくに、最初は対面がいいと思います。対面とオンラインの一番の違いは、お互いの双方向性。説明と質問のやりとりがうまくいけば、おそらくオンラインでも対面と同じくらいのOJTの効果は出ると思います。教えるほうも相手が理解しているかどうかわからないと教えづらいし、生徒のほうも不明点をすぐ質問できないと理解しにくい。感情や理解度をより深く知り合えるように、コミュニケーションの円滑さと双方向性を高める工夫が必要ですね。今では「1on1」面談の研修を開催してメンバーとの雑談を交えたコミュニケーションの推奨しているところで、成果はこれからと認識しています。
機会・場の提供にはオンラインを活用してみました。試みとして「チーム対抗謎解きオンラインイベント」を企画・開催しました。使用したのはチームビルディングや組織の育成という観点で作られているコンテンツですが、コミュニケーションの活性化が目的なので、交流が生まれて楽しんでもらえればいいなと。2種類のコンテンツを21年10月と22年2月に時期を分けて行いました。
大盛況の「チーム対抗謎解きオンラインイベント
同イベントにはおよそ100名と多くの社員が参加しました。イベント実施時の様子や参加者の反応はどうでしたか?
業務は最低限の情報共有をすれば進むかもしれませんが、個人の成長を考えた場合には、コミュニケーションを密にして、成長を促すメタ認知を深める場にしたいと思いまして、イベントは勤務時間外の夜に開催しました。以前は、ボーリングなども含めたコミュニケーションを開催したりしていましたが、オンラインでの自宅でリラックした環境で、お子さんと一緒に参加された方もおり、オンラインならのコミュニケーションの時間を取れたのが良かったという意見が非常に多く寄せられました。
開催してわかってきたことですが、チーム対抗と銘打っていたのですが、実はチームの中での交流すらできていないことがわかりました。チーム同士のつながり以前に、チーム内でのつながりが薄くなっているという事実があり、イベントを通じて、「あの時、面白かったよね」と話題として残っていて、「あの時の問題……」といったつながりのキッカケになればと思っております。
今後の展開
エンゲージメント向上のために、今後の活動は?
我々はCSRでは清掃活動なども推進しており、2001年から毎年春と秋に「富士山エコ活動」を行なっていました。社会貢献はもちろん、ご家族やお子さんと一緒の会社行事としてよい機会だったのですが、20年の春からは中止が続いています。リアルで集まるイベントは、組織や会社全体のつながりができるという良い面を持っています。これはオンラインではなかなかできないことです。
一方でオンラインイベントには参加しやすい。コスト面や効率面でのメリットがあります。今後はリアルとオンラインの、それぞれのメリットをうまく活用していきたいと考えています。
エンゲージメントと一言で言いますが、社員がやりがいを持っている状態かどうかです。全社でイベントをやっても1日や2日の話なので、一時的には良いかもしれないけど、直効果的なエンゲージメント向上ではないと思っています。やはり、現場でモチベーションが上がるようなコミュニケーションが取れているかどうかが一番大事です。 情報発信や機会・場の提供でキッカケを促していきたいですね。マネージャーや社員の皆さんが、自分で問題意識を持って向き合ってくれるような流れが現場でできるといいなと思っています。
テレワーク推進企業へのメッセージ
最後に、テレワークを推進している企業へメッセージをお願いします。
オンラインイベントをまだやっていないところは、試しにやってみたらいかがでしょうか。ツールとしては非常に有効なものです。リアルでやるのに比べればコストもかからないし、束縛される時間も限定的で気軽にできるので、多くの回数を実施できるメリットはあると思います。 社員の皆さんがコミュニケーション活性化を意識しながら発信をする。それを会社としてもサポートする姿勢が必要だと思います。 言うのは簡単だけど言いっぱなしにせず、お互いにやることは実施する。そうすると、自然と会社に対する信頼感やチーム内の一体感にも繋がるのではないかと考えています。