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コラムサブスクサービス価格改定の勘所

サブスク管理業務

2021/03/10

サブスクリプションサービスを始める際にどうしても躊躇してしまうのが「料金の改定」ではないでしょうか。
特に値上げに踏み切った場合、顧客が一斉に離れてしまうのではないか、さらには顧客からクレームがくるのではないかと不安を感じる人も少なくありません。

しかしながら、採算の取れないビジネスを続けることほど無意味なことはありません。むしろ料金改定を戦略的に行うことがサブスクリプションを持続的に成長させていく秘訣と言えます。

サブスクリプションの料金改定は当たり前?

サブスクリプションサービスは、まれに料金改定が行われることがあります。

特にグローバルにサブスクリプションサービスを展開している外資系企業の料金改定は頻繁で、ある大手動画配信サービスはこれまで数回にわたる料金改定を行っており、スタンダードプランの月額料金を約11ドルから約13ドルへと大幅に値上げしたこともありました。

そもそも国ごとに違った料金体系でサブスクリプションサービスを提供しているケースもあります。
購入商品の配送料無料、動画を見放題といった多彩な会員向けサービスをサブスクリプションで提供しているある大手企業は、日本国内における年会費を約4,000円から約5,000円に値上げしましたが、実はこれでも他国と比べればかなり割安なのです。

各国の年会費を日本円に換算してみると、例えばアメリカでは約13,000円、イギリスでは約12,000円、ドイツでは約9,000円、中国でも約6,700円となっており圧倒的な開きがあります。

一方で、シンプルな値下げを戦略的に導入している企業もあります。
グローバルに家庭用ゲーム機等を販売している大手企業では、定額制のストリーミングゲームサービスを展開していましたが、競合他社による新サービスの参入を受けて、1カ月利用を2,500円から1,180円、3カ月利用を5,900円から2,980円に値下げしました。
この価格改定には、激化する市場の中で優位性を維持する狙いがあるようです。

このように国ごとの法律や物価水準(購買力)、文化、競合他社の存在などを総合的に判断して料金設定を行っているわけですが、当然そこには抜け目のないビジネス戦略があります。

最初はより多くの会員を集めることが優先されるため、できる限り価格ハードルを下げるのが一般的です。その後、生活に欠かせないサービスとしてしっかり根付いたならば、最終的にはアメリカやイギリスと同水準まで料金を引き上げていくことが予想されます。

こうしたグローバルなサブスクリプションサービスに対して、日本企業が提供するサブスクリプションサービスには価格改定の目立った動きは見られませんが、それでも形を変えた価格改定はあちこちで散見されます。

業務系のアプリケーションをサブスクリプションで提供していたSaaSベンダーが、それまでベーシックプランで利用できていた主要機能のいくつかに制限をかけ、プレミアムプランにアップグレードしないと使えなくなるといったケースです。これも実質的な値上げにほかなりません。

もちろん、こうした取り組みを否定するわけではありません。そもそも価格改定は違法ではなく、民法でも認められた事業者の“権利”なのです。

戦略的な価格改定を行うために必要な工夫

日本企業は料金改定に対して、きわめて慎重に構える傾向があります。 これはサブスクリプションサービスについても同様で、「値上げをすると大量に顧客が解約してしまうかもしれない」「他社サービスに会員が乗り換えてしまう」といったことを常に懸念しています。

しかし、採算を後回しにしたビジネスは長続きしません。
提供するサービスの価値に見合った料金であれば顧客は必ず納得してくれます。価格競争を回避し、安定的な収益を確保することがサブスクリプションサービスの持続的な成長につながります。

ただし、これまで利用していたサブスクリプションサービスが何の機能強化や改善もなされないまま、ある日を境に突然料金が変わってしまうとなれば、多くの顧客の反発を招いてしまい、満足度は一気に低下してしまいます。
これは「顧客との継続的な関係性を築き、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を最大化すること」を追求すべきサブスクリプションサービスにとって、非常に大きなマイナスとなってしまいます。そのため、価格改定を行う際には必ず“工夫”が必要となります。

例えば、日時を区切って一斉に値上げをするのではなく、顧客ごとに十分な予告期間を設けた上で、契約更新のタイミングで値上げを行うことも1つの方法です。
要するに「契約を更新しない」という選択肢を与えるだけでも顧客の受け止め方は大きく変わり、サービス価値に見合った料金であるかどうかを冷静に判断してもらえます。

加えてこのタイミングで、より多くの料金プランの選択肢を顧客に提示できれば言うことはありません。「契約を更新するか、やめるか」の二者択一ではなく、自分(自社)にとってピッタリ合っていると感じられる料金プランを選択し、切り替えることができるなら、ほとんどの顧客は契約を更新することを選ぶはずです。

スマートフォンの料金プランなどは、とても良い参考になるのではないでしょうか。
データ通信をたくさん使えるプラン、データ量を制限する代わりに基本料金を割安にしたプラン、従量制をメインにしたプランなど、通信キャリアごとに様々なプランが用意されています。様々プランがあることにより、色々な年代・生活リズム・職業などに対応することができ、それぞれの利用者が1つのサービスの使い方を選択することができます。

これによって、他社のサービスへ乗り換えてしまうのを防ぐとともに、自社サービス内で新たなプランへの変更・更新を促し、継続して利用者を確保できるのです。

これにならって、例えば、サブスクリプションサービスに「一定量までは定額制、そのリミットを超えた分については従量制」の料金プランを導入するとします。この場合、利用量の少ない顧客が対象となる定額制の部分は課金率を少し高めに設定する一方で、利用量の多い顧客が対象となる従量制の部分については課金率を下げるといった工夫を施すことで、全体としてサービスの利用を増やすことを狙えます。

料金改定に伴うバックオフィス業務の混乱を回避するには

たとえ実質的には値上げであったとしても、それ以上の価値を顧客に提供できるサービスやプランの改良が伴っているのであれば料金改定は顧客にとって魅力的なものとなるのです。

このように、提供するサービスの大幅な機能強化やバージョンアップにあわせて都度料金プランを見直すことで、顧客への提供価値を常に最適化できるといえます 。
サブスクリプションビジネスにおける継続的な顧客との関係性を築くためには、こういった料金改定も要素の一つとなるでしょう。

もっとも、こうした料金改定の緻密なコントロールを行うとなれば、必然的にバックオフィス業務は複雑化していきます。
料金改定を行ったタイミング以降の料金計算の切り替えや、日割りでの調整など、複雑な管理・計算を手作業で行っていたのでは、業務現場は大混乱に陥ってしまいます。

万が一にも誤請求を起こしてしまった場合、会社の信用は一気に失墜し、経営上の問題へと発展するリスクがあります。ここぞというタイミングで行う料金プランの見直しに迅速に対応することも不可能です。

そこで必須となるのが、料金計算や請求管理などのバックオフィス業務を効率化・自動化するプラットフォームです。
裏を返せば、まずはバックオフィスの業務プロセスから手作業を排除するシステムをしっかり固めることで、はじめて多様な顧客ニーズに対応したサブスクリプションサービスの戦略的な価格改定を実践することが可能となります。

NTTコムウェアでは、サブスクリプションビジネスに必要な一連の業務をトータルでサポートするサブスク管理システム「Smart Billing」を提供しています。
契約管理から料金計算、請求管理、回収管理まで一つのシステム上で行えることで、バックオフィスの負担が増えることなく、価格戦略の実行が可能です。